65篇が沈黙の中での神との出会いなら、66篇は歌声と叫びの中での礼拝です。
1、救いのみわざ
全地よ。神に向かって喜び叫べ。
御名の栄光をほめ歌い、神への賛美を栄光に輝かせよ。(詩篇66:1~2)
救い主である神があまりに素晴らしいので、賛美しています。さらに、賛美の歌では足らずに叫んでいます。自分たちだけで神を賛美しているだけでなく、世界の人にも賛美を呼びかけています。純粋な神への賛美は、宣教へと発展します。
さあ、神のみわざを見よ。神の人の子らになさることは恐ろしい。
神は海を変えて、かわいた地とされた。人々は川の中を歩いて渡る。
さあ、私たちは、神にあって喜ぼう。(5~6節)
神を賛美する理由を、5~6節で説明しています。エジプトで奴隷だったイスラエルの民を神が救って下さったことが賛美の原因です。「神は海を変えて、かわいた地とされた」(6節)とあるように、神は超自然の方法でイスラエルの民を救い出して下さいました。ヨルダン川もせき止められ、歩いて約束の地に入ることができました。
私たちの場合も同じです。神は私たちを罪の滅びから救い出して下さいました。海が分かれて乾いた地が出てくるのではなく、神の子イエス・キリストが釘づけられ血が流される事で私たちは救われました。神をたたえましょう。
1967年7月、ジョニー・エレクソンは17歳の時、海で飛び込み、岩礁で首の骨を折りました。体を動かせなくなった彼女は、そのままでは溺死でした。一緒に遊びに来ていた姉妹のキャシーが助けてくれたので一命を取りとめました。
首から下が動かない現実との戦いは凄まじいものがありましたが、命が救われたことは大きな事実なのです。救出された命を彼女は用いて、絵画を口で描き、40冊以上の本を執筆し、4万台の特注車いすを世界にプレゼントして、世界の多くの人を励ましています。ジョニーは、毎朝、今日一日生きられるように力を与えて下さいと祈っています。
「さあ、私たちは、神にあって喜ぼう。」(6節)
2、試練からの救出
「国々の民よ。私たちの神をほめたたえよ。神への賛美の声を聞こえさせよ。」(8節)8~9節では、国々の人に賛美をうながしています。その理由は、神が試練から助け出して下さるからです。
神よ。まことに、あなたは私たちを調べ、銀を精練するように、私たちを練られました。
あなたは私たちを網に引き入れ、私たちの腰に重荷を着けられました。
あなたは人々に、私たちの頭の上を乗り越えさせられました。
私たちは、火の中を通り、水の中を通りました。
しかし、あなたは豊かな所へ私たちを連れ出されました。(10~12節)
銀は962度まで熱すると溶けます。「銀を精練するように、私たちを練られる」(10節)とあるように、私たちが出会う試練は「火の中」をくぐるほど強烈な体験です。それでも神は、私たちを最後には「豊かな所」に導かれます。
「あなたは私たちを網に引き入れ、私たちの腰に重荷を着けられました。あなたは人々に、私たちの頭の上を乗り越えさせられました。」という経験は、戦争に負けて奴隷になった姿です。
第2歴代誌28章には、北王国イスラエルに敗北した南王国ユダで多くの兵士が殺され、女性と子供の多数が奴隷として連れて行かれたことが記録されています。預言者オデデがその行為を戒めたので、北王国は奴隷を解放し、洋服を着せ、食物を与えて帰還させましたが、詩篇66篇の背景にも、それに似た出来事があったのでしょう。
神は試練から私たちを救い出して下さいます。だから主を賛美しましょう。
3、祈りは聞かれる
私は全焼のいけにえを携えて、あなたの家に行き、私の誓いを果たします。
それは、私の苦しみのときに、私のくちびるが言ったもの、私の口が申し上げた誓いです。(13~14節)
火の中の苦難を通った時、神に助けを求め、救い出された後に必ず全焼のいけにえをささげますと誓いました。その祈りが聞かれ(19~20節)、救い出され、約束したとおりに全焼のいけにえをささげているのが(13~15節)です。
しかし、確かに、神は聞き入れ、私の祈りの声を心に留められた。
ほむべきかな。神。神は、私の祈りを退けず、御恵みを私から取り去られなかった。
(19~20節)
私たちも、厳しい試練の時は主の助けを必死に求め、主への忠誠を告白するものです。主の恵みを受けたなら、約束を実行しましょう。
イギリス人のジョン・ニュートン(1725-1807)は、若き日に奴隷船で働いた男でした。反抗的な者や病気で弱り果てた黒人奴隷を海に突き落とすのは日常茶飯事でした。1748年1月、22歳の時に、ジョンは死を覚悟するほどの激しい嵐に出会い、神の助けを求め、神を信じて生きると誓いました。それから、彼の生活は徐々に変えられました。
ジョンは、今で言うならブラック企業の店長のような人物、あるいは、アジアの青年や少女をだまして日本に連れて来てパスポートを取り上げ無理やり働かせる悪質業者のような人物でした。30歳過ぎて牧師になりました。50歳過ぎて、有名な讃美歌「Amazing
Grace」の歌詞を書きました。そこには、神による救い、嵐の海での助け、祈りがかなえられた経験などが描かれています。詩篇66篇の内容と同じです。私のような人間のクズさえ救って下さる神の恵みは何と深く驚くべきことだろう、と歌ったのです。
詩篇66篇を要約しましょう。神は救って下さる方、助けて下さる方、祈りに答えて下さる方です。だから、喜びをもって賛美と礼拝をささげます。世界の人達よ、私たちの賛美に加わって下さい。一緒に神にひれ伏し、大声で神に叫びましょう。
全地よ。神に向かって喜び叫べ。
御名の栄光をほめ歌い、神への賛美を栄光に輝かせよ。(1~2節)
→あなたの番です。
□神は救って下さる
□神は助けて下さる
□神は祈りに答えて下さる