ギデオンのシリーズ最終回となります。
祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり
沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす
おごれる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし
ご存知のように、平家物語の冒頭部分です。源義経が「一の谷の合戦」でひよどり越えをする場面は、ギデオンの戦いを彷彿させます。どちらも奇襲作戦で大軍勢を打ち破りました。
1、さあ、攻め下れ
その夜、主はギデオンに仰せられた。「立って、あの陣営に攻め下れ。それをあなたの手に渡したから。(9節)
主は、優しさと配慮のある方です。心配なら偵察してきなさいとギデオンに言われました。彼は密かにミデヤン兵の世間話に聞き耳を立てました。大麦のパンが下ってきて、陣営が破壊される夢を見たと一人の敵兵が語り、聞き手は、それはギデオンに違いないと話していました。
ギデオンはその場で礼拝しました。勝利の確証を得て、また、敵陣の偵察も同時に終えて自陣に帰還、兵士らに作戦をさずけました。
神は、あなたに、今だ、と語られるときがあります。はっきりとそれが分かったのなら、躊躇せずに攻めくだるべきです。あなたの手に渡したと主は言われるのです。
2、私を見よ
大麦のパンは小麦のパンに劣り、いわば貧乏人の食べ物として知られていました。ギデオンはミデヤン兵の夢を聞いて痛快な気持ちになったでしょう。くらえ!貧乏人の食物を、弱虫の勇気を、といったところです。
それから、彼らに言った。「私を見て、あなたがたも同じようにしなければならない。見よ。私が陣営の端に着いたら、私がするように、あなたがたもそうしなければならない。(17節)
あの臆病なギデオンが、私を見なさい、私のやるとおりにせよ、と命令をしています。神は、弱い者を選び、育て、用いてくださる方です。
あなたが現代のギデオンです。
3、主の剣だ
三隊の者が角笛を吹き鳴らして、つぼを打ち砕き、それから左手にたいまつを堅く握り、右手に吹き鳴らす角笛を堅く握って、「主の剣、ギデオンの剣だ。」と叫び、それぞれ陣営の周囲の持ち場に着いたので、陣営の者はみな走り出し、大声をあげて逃げた。
(20~21節)
ギデオンの古戦場を実際に訪ねた人に聞くと、丘のような山に囲まれた場所だということでした。
ギデオンは、秘策を授けました。たいまつを壷で隠し、敵陣の上方に待機させました。ギデオンの合図で、300人が壷を割ります。すると周辺一帯が大音響に包まれます。寝入っていた敵軍は大慌てで起き上がり、たいまつの明かりが周囲の山を取り囲んでいることに気づきます。「主の剣、ギデオンの剣」とイスラエル兵が大声で叫び、左手にたいまつを掲げながら、右手の角笛を高らかに吹き鳴らします。
集結したはずのイスラエル軍が突然消息を絶ったので、ミデヤン軍は疑心暗鬼になっていたので、奇襲攻撃を受けると同士討ちを始めるほどの混乱をきたしました。ミデヤン軍は一枚岩ではなく、寄り合い所帯の同盟軍であったので、見方がイスラエルに寝返ったと思い込んだのかもしれません。
22節によれば、ギデオンの兵士は角笛を吹き続けました。本来は通信係である角笛担当者の背後に何千、何万というイスラエル兵がいると考えたのは無理もないことです。同士討ちによりかなりの数の兵士が戦死したと思われます。
ギデオンは、一旦返した兵士らを呼び寄せ、ミデヤン人討伐を慣行しました。勝利です。主の勝利です。人間の力によらない主の栄光です。
→あなたの番です
□ミデヤン人とは、今のあなたにとって何ですか
□あなたにとっての角笛とたいまつとは何ですか
ある者はいくさ車を誇り、ある者は馬を誇る。しかし、私たちは私たちの神、主の御名を誇ろう。(詩篇20:7)
それでモーセは民に言った。「恐れてはいけない。しっかり立って、きょう、あなたがたのために行なわれる主の救いを見なさい。
(出エジプト記14:13)