コロサイ4:7~9 目立たない賜物


 「奉仕」の賜物、「分け与える」賜物、「慈善」の賜物(ローマ12:7~8)、「助ける者」(第1コリント12:28)に、<目立たない賜物>という呼び名を付けてみます。

こうした賜物を与えられた人は、どちらかというと静かで目立たない人が多いですね。新しいことを企画したり、リーダーシップを発揮するタイプではありませんが、与えられた役割をきちんと果たし、裏方の仕事に喜びを感じます。


1、テキコ

私の様子については、主にあって愛する兄弟、忠実な奉仕者、同労のしもべであるテキコが、あなたがたに一部始終を知らせるでしょう。私がテキコをあなたがたのもとに送るのは、あなたがたが私たちの様子を知り、彼によって心に励ましを受けるためにほかなりません。(コロサイ4:7~8)

テキコはパウロの弟子の一人でした。テキコの特徴は忠実な奉仕です。コロサイの手紙だけでなく、エペソ人への手紙においても、パウロはテキコを「忠実な奉仕者」と紹介しています。忠実とはいったい何でしょう。人が見ていても見ていなくても、与えられた役割を果たす責任感と実行力です。

あなたがたにも私の様子や、私が何をしているかなどを知っていただくために、主にあって愛する兄弟であり、忠実な奉仕者であるテキコが、一部始終を知らせるでしょう。(エペソ人への手紙6:21)

パウロはローマの牢獄でエペソとコロサイの人々に手紙を書き、その手紙の配達をテキコに託しました。パウロは、もう一つ難しい仕事をテキコに依頼しました。コロサイのピレモン宅から逃げ出した逃亡奴隷のオネシモを主人に送り届ける役です。

また彼は、あなたがたの仲間のひとりで、忠実な愛する兄弟オネシモといっしょに行きます。このふたりが、こちらの様子をみな知らせてくれるでしょう。(9節)

 パウロのもとでイエスを信じ別人に生まれ変わったオネシモを、主人のもとに届け、パウロからの信書を手渡して、元の主人と元の奴隷の間を穏やかに取り持つ役割でした。忠実で、穏やかで、平和的で、与えることを喜びとするテキコだから、この難しい任務を果たすことができました。
 テキコの目立たない賜物は、2000年間多くの人々の目に留まることになりました。


2、私たちの奉仕

あなたの番です。御霊は次のような賜物をあなたに与えているかもしれません。

「奉仕」の賜物
「助ける」賜物
「分け与える」賜物
「慈善」の賜物

 奉仕や助ける賜物を与えられている人は、机を並べる、会計係りをする、お茶をサーブする、掃除するなど、主役ではなくて脇役として力強く貢献します。通訳の奉仕も名脇役の一人です。

まとまったお金をそっと献金する人がいますが、まさに分け与える賜物を主からもらっている人です。人をもてなしたり、宿泊を提供するということも、分け与える賜物に関連しています。お料理が好きな人や誰かを泊められるスペースのある人もそうです。
 慈善の賜物は、ホームレスの人への食事提供をしたり、経済的に恵まれない子供の学費・生活費を助ける活動などができます。マザーテレサは、慈善の賜物を特別いっぱい与えられた人でした。

あなたに、このような賜物が与えられているなら、それを主と人々のために惜しむことなく用いて下さい。

イエスは彼らに言われた。「水がめに水を満たしなさい。」彼らは水がめを縁までいっぱいにした。イエスは彼らに言われた。「さあ、今くみなさい。そして宴会の世話役のところに持って行きなさい。」彼らは持って行った。宴会の世話役はぶどう酒になったその水を味わってみた。それがどこから来たのか、知らなかったので、――しかし、水をくんだ手伝いの者たちは知っていた。――彼は、花婿を呼んで、言った。「だれでも初めに良いぶどう酒を出し、人々が十分飲んだころになると、悪いのを出すものだが、あなたは良いぶどう酒をよくも今まで取っておきました。」(ヨハネ2:8~10)

カナの婚礼に出席された主イエスは、水がめに満たした水をぶどう酒に変える奇跡を行いました。宴会の終わり近くなのに良いぶどう酒が振舞われたので人々は驚嘆しました。水を何度もくみ上げて運び、水がめに注いだ下働きの人だけが主イエスの奇跡を目の当たりにしました。「水をくんだ手伝いの者たちは知っていた」(ヨハネ2:9)と書かれてある通りです。
<水をくんだ手伝いの者>だけが主のみわざを体感できるのです。これこそが、水を汲む者の美学です。

田中いさおさん・きよさん夫婦は、映画『喜びも悲しみも幾歳月』のモデルになった方々で、太平洋に突き出た高さ40mの岩山の上にある塩屋崎灯台が仕事場兼住居でした。陸の孤島と呼ばれる場所での勤務ですから、飲料水にも事欠き、米のとぎ汁で顔を洗い、おしめを洗ったといいます。二人目の出産時は、夫が新生児を受け止め、へその緒を切りました。毎晩、毎晩、舟の航行の安全のために灯台に灯をともす仕事と生活は、目立たない歩みですが、忠実さ、継続力が問われる大切な役割でした。

主はあなたに、奉仕、分け与える、慈善、助ける賜物を与えて下さったかもしれません。それならば、忠実さと継続力に磨きをかけて、信仰の明かりをともし、世の光という灯台になって福音の光と神の愛の光を届けて下さい。あなたの財産、時間、労力、経験を分け与える事こそがあなたの生きがいになり、あなたの輝きになります。

 
 このように、あなたがたの光を人々の前で輝かせ、人々があなたがたの良い行ないを見て、天におられるあなたがたの父をあがめるようにしなさい。(マタイ5:16)


 →あなたの番です
□奉仕、分け与える、慈善、助ける賜物を与えられていますか
□忠実さに磨きをかけましょう
□分け与えることを喜びましょう