考え方ひとつで マルコ9:38~50

 考え方一つで人生は変わります。主イエスは、ご自身が地上を離れた後を想定して、弟子たちを育てようとしておられます。今日の箇所もその一環とみることができます。

1、広く考える

 ヨハネは「雷の子」(マルコ3:17)と呼ばれていました。激しやすい性格を見抜かれて主イエスからあだ名を頂戴したのです。そのヨハネが得意そうに主イエスに報告しました。「先生。先生の名を唱えて悪霊を追い出している者を見ましたが、私たちの仲間ではないので、やめさせました。」(マルコ9:38)
 いかにもヨハネらしい正義感ですが、主イエスはあっさりとその考えを否定されました。「わたしたちに反対しない者は、わたしたちの味方です。」(マルコ9:40)

 偏った仲間意識が世界中の戦争の原因です。家庭や職場の争いも、同様な理由で発生します。広い心を持ちたいですね。主イエスは、真理と正義に生きた方ですが、<広い方>なのです。
あなたは今、誰かと対立していますか。あなたが作っている壁とは何ですか。あなたがこだわる仲間意識は健全ですか。主にある広い心を持って今週過ごしましょう。


2、結末を考える

 主イエスは、子供のような小さい者にでもつまずきを与えてはいけない、と言われました。さらに、「つまずき」という言葉をきっかけに、主イエスは次のテーマへと話題を展開させました。

 「もし、あなたの足があなたのつまずきとなるなら、それを切り捨てなさい。片足でいのちにはいるほうが、両足そろっていてゲヘナに投げ入れられるよりは、あなたにとってよいことです。」(マルコ9:43)

 あなたが悪を選べが必ずその結果を刈り取ることになる。主イエスの教えは厳しい。手、足、目、と三段階にたたみかけて、自分を滅ぼす原因を切り捨てるようにと勧めます。
 「ゲヘナ」という言葉はマルコの福音書でここだけに使われています。分りやすく言うと地獄という意味です。ゲヘナは存在する、うじが食らうような不快感がある、火の苦しみが永遠に続く、以上の3点を主イエスは認めておられるのです。主イエスのメッセージは、「ゲヘナに行くな!」という強い警告なのです。
 
 デンマークの作家ハンス・アンデルセン(1805~1875)が書いた『赤い靴』(1845)という童話があります。カレンは赤い靴を履いて教会に出かけました。大事な堅信礼の日でしたが靴のことだけを考えていました。赤い靴の魅力に負けたカレンは、世話をしてくれたおばあさんの看病よりもダンスパーティーを選びました。赤い靴は勝手に踊りだし、自分の意思では踊りを止められません。魔法使いに呪いをかけられたのです。結局、カレンはおばあさんの葬儀にも出られれず踊り続けました。最後には森に住んでいた首切り役人に足を切ってもらいました。悔い改めて、牧師の女中として仕え、礼拝堂で賛美歌を聞きながら心が平安と喜びに満たされる中、天に昇ります。
さきほどの聖書箇所と自分の人生を重ね合わせアンデルセンが、この童話を書いたのだと私は勝手に推測しています。

 あなたが陥りやすい罪とは何ですか。あなたにとっての「赤い靴」とは何ですか。人生の本当の結末をしっかり見据えて、捨てるべきものを今、捨てましょう。


3、影響を考える

 体温が高い人、低い人、握手をするとすぐに分ります。それと同じように。心が温かい人、優しい人、前向きな人、主に信頼している人などは回りにいる人がすぐに分ります。

 「塩は、ききめのあるものです。しかし、もし塩に塩けがなくなったら、何によって塩けを取り戻せましょう。あなたがたは、自分自身のうちに塩けを保ちなさい。そして、互いに和合して暮らしなさい。」(マルコ9:50)

 塩は腐敗を防ぎます。良い影響力を与える人になりなさいと主イエスは命じています。周囲に清い影響を与える人になるようにと主イエスは期待されました。あなたは周囲にどんな影響を与えていますか。

 リー・ストロベルという人は、シカゴ・トリビューン紙で13年働き、数々の賞を受けたジャーナリストでした。高校時代の生物学の授業で進化論を学んだとき神はいないと一人で納得し、以来無視論者として生きてきましたが、ある時からキリスト教について真剣に取り組むようになりました。イエスは本当に存在したのか、福音書は信頼できるか、奇跡はあったのか、など信仰の土台となる問題をその道の専門家にインタビューしました。ジャーナリズムで身につけた真実解明の方法論を駆使し問題の核心に迫る切り口は、やがて書物としてまとめられました。
 ストロベル自身は1981年に信仰を持ち、Case for Christ, Case for Faith, Case for a Creatorなど弁証論として優れた本を世に送りました。一人の影響力は、凄いです。ストロベルは大きな励ましや納得を世界中に提供しました。

 心臓の鼓動を作る機械は、ペースメーカー。問題ばかり起こすのは、トラブルメーカー。その人がいるだけで皆が仲良くなる人は、ピースメーカー。あなたはどのメーカーになりたいですか。

 広い心を持つ人になり、結末を見つめて不要物を捨てられる人になり、良い影響を周囲に伝える人になりたいですね。主イエスと共に生きるなら、それは可能です。