詩篇2篇 国々は騒ぎ立つ

 詩篇2篇は、1篇に比べると難解だ。誰が、何のために、誰について語った詩篇なのか?その謎を解いていこう。

1、王の即位の詩

 謎解きの第一は、誰が書いたか。それは分からない。

 謎解きの第二は、書かれた目的が何かだ。王の即位式に用いられた詩篇だろうと言われている。内容を確認すれば、すぐに分かる。

 1~3節:近隣の王たちが、イスラエルの新王に対決姿勢を示す。
 4~6節:神は、王たちの態度を笑い、イスラエルに王を立てたと宣言する。
 7~9節:神から受けた信任を、王が表明する。
 10~12節:御子に忠誠を誓うようにとの呼びかけ。

 2篇の中心人物は、「油注がれた者」(2節)だが、6節で「王」と呼ばれ、7節では「わたしの子」、2節では「御子」と呼ばれている。

 第2サムエル5:17以下には、エルサレムで即位したダビデ王にペリシテ人が戦いを挑んだ史実が書かれている。詩篇2篇の内容によく似ているが、ダビデがその「油注がれた者」かというと違う。2篇が語る王は、神から完全な信任を受けた特別の存在で、ダビデと言い切ることは困難だ。

 神はダビデに以下のように約束された。
「あなたの日数が満ち、あなたがあなたの先祖たちとともに眠るとき、わたしは、あなたの身から出る世継ぎの子を、あなたのあとに起こし、彼の王国を確立させる。彼はわたしの名のために一つの家を建て、わたしはその王国の王座をとこしえまでも堅く立てる。わたしは彼にとって父となり、彼はわたしにとって子となる。もし彼が罪を犯すときは、わたしは人の杖、人の子のむちをもって彼を懲らしめる。」(第2サムエル7:12~14)

 「わたしは彼にとって父となり、彼はわたしにとって子となる」この約束は、詩篇2篇の内容とぴたりと適合する。

 「あなたはわたしの子、きょう、わたしはあなたを生んだ」(詩篇2篇7節)

 そうすると、ダビデの子孫から生まれた王が、詩篇2篇の想定する王だということができる。多くの聖書学者たちは、主イエス・キリストを指し示す詩篇だという。


2、新約聖書に引用される詩篇

 新約聖書に直接引用された詩篇は104箇所、間接引用も含めると400箇所にのぼると言われている。その多くが、主イエスの受難、死、復活、栄光を預言している。

 復活後の主イエスは弟子たちに現れて、詩篇が主イエスについて証言しているとご自身の口で言われた。
 「さて、そこでイエスは言われた。『わたしがまだあなたがたといっしょにいたころ、あなたがたに話したことばはこうです。わたしについてモーセの律法と預言者と詩篇とに書いてあることは、必ず全部成就するということでした。』」(ルカ24:44)

 詩篇2篇を直接、間接に引用している新約聖書の主な箇所をあげると、以下のようになる。マルコ1:11、使徒13:33、ローマ1:4、ピリピ2:10~11、ヘブル1:5、ヨハネ黙示録2:27

 詩篇2篇は、やがて来られる救い主であり、王である、主イエスを、あらかじめ指し示した詩篇であると理解できる。


3、王なる御子に栄光をささげよう

 詩篇2篇10~12節で勧められているのは、悟れ、慎め、主に仕え喜び、御子に口づけせよ、という内容になっている。

 神と御子が文章の流れではほぼ同格に扱われており、旧約聖書における三位一体に関する言及の一つとなっている。

 詩篇1篇は、詩篇150篇全体の序論であり結論だと前回言及したが、2篇は<序論その2>という位置づけになる。それは、2篇の最後「幸いなことよ。すべて主に身を避ける人は」(7節)が、詩篇1篇冒頭の「幸いなことよ」と呼応することが根拠になる。

 詩篇2篇を大胆に要約すればこうなる。神の御子、イエス・キリストを王として栄光をささげよ。

 一人の男性がいた。56歳。生涯で最も暗い日々を送っていた。脳卒中で半身が不自由になり、リュウマチの苦痛とも戦っていた。そんな彼が作曲の依頼を受けた。歌詞は聖書、それもイエス・キリストこそまことの救い主、王の王という内容だった。24日間かかって一気に書き上げた作品は「メサイヤ」として広く知られるようになった。この男性が作曲家のヘンデルだった。
 私はこう想像している。ヘンデルは、自分の部屋で一人きりのとき、主イエスを王としてたたえていたのだと。

 礼拝とは、神が良きものを下さったがゆえにささげるものではないと私は思う。もちろん主への感謝は礼拝の大切な一部だ。けれども、主イエスが王の王である、ただそのことにゆえ礼拝に値すると私は信じている。

 本当の幸せは、御子イエスを信じて、共に歩くことである。あなたも、主イエスをあなたの王として心の中心にお迎えしよう。

→あなたの番です 
□神の御子イエスを礼拝において心からたたえよう
□あなた一人の場所で、主イエスを王としてあがめよう
□王に仕える者として、誇りを持って今週も生きよう