詩篇8篇 人とは何者なのでしょう 

 詩篇8篇は、星空を見上げたダビデの感嘆と賛美です。大自然を造られた偉大な神をご一緒にたたえましょう。

 哲学者カントが『実践理性批判』の中で、感嘆と畏敬の念で自分の心を満たすものが二つあると述べたことを思い出しました。それは、我が上なる星空と我が内なる道徳律、です。

1、星空を見上げて

「私たちの主、主よ。
あなたの御名は全地にわたり、なんと力強いことでしょう。
あなたはご威光を天に置かれました。」
(詩篇8:1)

 現代人に最も欠けているのは、神を畏れ敬う心でしょう。都市文化は傲慢を下敷きにして成立しています。街を出て、森林、山々、湖畔に足を踏み入れると、私たちは都会のよろいを脱ぎ捨てることができ、穏やかな心になれます。それはなぜでしょう。自然は、神のふところを思い出させてくれるからです。
 満点の星空を見上げる時、その素晴らしさのゆえに私たちは言葉を失います。人間という地平線をはるかに越えた偉大な創造主を想起せずにはいられません。
 ダビデは神の御名をたたえ、天に表わされた神の素晴らしさをたたえました。

「あなたの指のわざである天を見、
あなたが整えられた月や星を見ますのに、」(詩篇8:3)

 詩篇8篇の中心思想は、同じ言葉が繰り返されていることから1節と9節であることが分かります。

「私たちの主、主よ。
あなたの御名は全地にわたり、なんと力強いことでしょう。」
(詩篇8:9)

 さあ、あなたの番です。家を出て、木々を見上げましょう、花々に目を向けましょう。星空をしばし見つめ、山の頂に残る雪を凝視しましょう。ダビデと同じ心で主をたたえましょう。



2、自分を見つめて

 ダビデは偉大な神の前で自分を振り返り、自分がちっぽけな存在であることを深く認識しました。ダビデの疑問はそこから発します。
 3節の「人」は原文でエノシュ、4節の「人」はアダムになっています。前者は弱さを持つ者、後者は土を意味します。弱く小さな者にさえ目を留める神に、ダビデは畏敬と喜びを同時に感じています。

「あなたの指のわざである天を見、あなたが整えられた月や星を見ますのに、
人とは、何者なのでしょう。あなたがこれを心に留められるとは。
人の子とは、何者なのでしょう。あなたがこれを顧みられるとは。」
(詩篇8:3~4)

 5~8節を見ると、神が人をご自身の形に造り(創世記1:27)、栄光を付与し、多くのものを「治め」(6節)るように命じたことが分かります。
 人とは弱い者、はかない者でありながら、神の期待に応えることができる存在だと分かります。
 
 あなたの番です。神があなたにゆだねて下さったものが必ずあるはずです。それを、きちんと治めましょう。誰かの役に立つ仕事、生き方を選び取りましょう。大いなる神の前で謙虚に、しかも、はつらつと愛と真実を実行しましょう。また、神が人に委ねられた自然を保護・育成しましょう。

 テキサス州ダラス郊外で3月7日、ブランディ・トッドさん(28歳)が公園で二人の子供を遊ばせているとき、背後から薬物中毒の男に刺される事件が起きました。背骨を損傷する深い傷で下半身不随となりました。ブランディさんは事件後、「これで終わりじゃないわ、私は生きてるし、両手も使える。幸せになるわ」と子供たちに伝えたといいます。夫も犯人をゆるすと発言しました。小さな町の人々は事件を悲しみ、4歳と8歳の子供の母、ブランディさんのためにできることを始めました。車椅子で動けるように家の改造工事を町の人々がボランティアで行い、地域の2つの教会は改造費用のかなりの額を負担しました。医師は、無保険だった女性の医療費を肩代わりしました。

 さあ、あなたの番です。大いなる神をたたえながら、あなたらしい応答をしましょう。あなたの命は、このために神から頂いたのかもしれません。