第1サムエル3:1~21 主よ、お話しください


 第1サムエル3章の流れを追ってみましょう。
 少年サムエルは祭司の見習い中で、この日は礼拝施設で眠っていました。神がサムエルを呼ばれたのですが、少年サムエルは祭司エリの呼びかけと勘違いしてエリの部屋まで走って行きました。呼んでいないと祭司エリに言われ、サムエルは寝床に戻りました。同じことが、2度、3度と繰り返され、祭司エリは主がサムエルを呼んでいると気づき対応方法を教えました。サムエルは、4度目に呼ばれたとき、「主よ。お話しください」と応えて、主の言葉を聞きました。翌朝、エリに問い詰められ、サムエルは祭司エリ家族への裁きを告げました。祭司エリは、主が少年サムエルを選ばれたことを知りました。サムエルは、やがて、全イスラエルにおいて預言者として認められていきました。


1、語る神

 神はサムエルに声をかけました。(4、6、8、10節)
ハンナは神に心を注ぎ出して祈りましたが、今回は、立場が逆です。神がサムエルに語られました。まことの神は、ご自分の思いを人に伝える方です。
 あなたが心を静かにするなら、主の語りかけに気づくかもしれません。人は何のために生まれて来たのでしょう。その答えの一つは、神の言葉を聞くため、と言っても良いでしょう。

 「主はサムエルに仰せられた」(11節)

 神は、今、あなたに何を語っていますか。

 祈りの時、あなたが語るだけでなく、あなたが黙り、主の語りかけを聞くことが必要です。毎朝、聖書を読むことは、神の語り掛けに耳を傾ける習慣になります。



2、少年を必要とする神

 神は、大人ではなく、少年を選ばれました。

 「少年サムエル」(1節)
「主が少年を呼んでおられる」(8節)

 少年とは何でしょう。未熟という意味です。
 少年とは何でしょう。未来を思い描けない人です。
 少年とは何でしょう。成長する可能性があるということです。
 少年とは何でしょう。純粋な心を持つ者です。

 サムエルは少年でしたが、主に仕えていました。「少年サムエルはエリの前で主に仕えていた。」(1節)「主に仕えていた」(2:11)、「主に仕えていた」(2:18)仕える人とは、神を敬う人で、神の役に立ちたい、私を使って下さいという姿勢を持つ人です。

 人間がどのくらいの能力を持っているのか、神はあまり関心がないと私は思うのです。だって、神から見れば、人間の能力など大差ないからです。
 人間は、分厚い布のようなものです。そのままでは何の役にも立ちません。けれども、船のマストに結び付ければ、立派な帆になり、神が送ってくれる風により大きな船を動かせます。私を用いて下さいと自分をささげる人は、主が用いてくれます。

あなたは、少年ですか、青年ですか、中年ですか、老年ですか、定年ですか。そんな事は関係ありません。主は、神のために生きたいと心に決めた人を求めているのです。
あなたは自分が未熟だと言って主の招きを断りますか。主は、あなたが未熟なことを主は百も承知です。大事なことは、あなたが主の前でAvailable かどうかです。

私は、自分が大学3年で主の招きを確信して、卒業後に神学校に行きました。当時、自分の能力を客観的に測ることはできなかったし、未来の自分の姿を思い浮かべる事も不可能でした。経済的にどうなるのかは考えるだけ無駄でした。計算していたら、自分の生涯を主にささげることはできなかったでしょう。主の招きを聞いたなら、動きましょう。



3、名前を呼ぶ神

 神は、サムエルの名前を呼びました。
 
 「サムエル。サムエル。」(10節)

主は1度、2度、3度、4度、サムエルを呼んだことになります。主は100回でも1000回でも、あなたが気づくまであなたを呼んでいます。世界に何十億の人がいようと、神はあなたが必要だと言っておられるのです。

旧約聖書では、同じように名を呼ばれた人がいました。「アブラハム、アブラハム」(創世記22:11)、「ヤコブ、ヤコブ」(創世記46:2)、「モーセ、モーセ」(出エジ3:4)。神は、彼らの名を2度呼び、注意を喚起しています。
神は、あなたの名を知っています。あなたのパーソナリティーや背景を知って、あなたが必要だと声をかけています。

アーサー・アッシュ(194393という黒人テニスプレイヤーをご存じですか。貧しく生まれ、7歳から始めたテニスで頭角を現しました。ウォルター・ジョンソンという黒人医師が10歳のアーサーを引き受け、テニスも勉学も経済面も支え、フェアプレーの精神を教えました。まさに、少年に声をかけ、少年を育てたのです。
彼はテニスの4大大会に優勝、全米テニスチームの監督にまでなりました。また、黒人スポーツマンを励まし、人種差別反対運動を行いました。
Start where you are, Use what you have, Do what you can. これはアーサーの言葉です。
アッシュは心臓手術の輸血が原因でエイズになり49歳で死亡しましたが、7歳の娘に次のような言葉を言い残している。「神に祈りなさい。頼みごとをするためではなく、何が正しいことか、神が何を望んでおられるかを知る知恵と、それを実行する意志を祈り求めなさい。」

 主は、今日も、あなたの名を呼んでいます。それは、あなたと語り合いたい、あなたに託す使命があるという意味です。あなたが任された仕事は何ですか。

 →あなたの番です
  □主は、あなたに、何を語っていますか
  □「少年」のあなたを主が必要としています
  □主はあなたの名を呼んでいます