エベン・エゼル 第1サムエル7:1~17


 アメリカに駐在者として生活した人が帰国する際、米国で買った家具や電気製品などを安く売ったり、知人に無料であげて、飛行機に乗る。帰る時は、捨てるべきものがある。
 今日は、主に帰る、というテーマを扱う。


1、主に帰る

その箱がキルヤテ・エアリムにとどまった日から長い年月がたって、二十年になった。イスラエルの全家は主を慕い求めていた。(第1サムエル7:2)

空白の20年が過ぎた。神を忘れ去った20年だった。神に逆らった20年だった。神の箱はキルヤテ・エアリムに仮に置かれて20年間も放置されていた。
ペリシテに敗北したイスラエルは、復興の糸口もつかめず、ペリシテ人の圧迫に20年間苦しめられた。そして、ついに神を求めた。あなたにも空白の20年があるはずです。
 神から離れていた人々は何をどうしたらいいのか分からないので、サムエルは短い言葉で、なすべきことを教えた。

そのころ、サムエルはイスラエルの全家に次のように言った。「もし、あなたがたが心を尽くして主に帰り、あなたがたの間から外国の神々やアシュタロテを取り除き、心を主に向け、主にのみ仕えるなら、主はあなたがたをペリシテ人の手から救い出されます。」(3節)

主に帰れ。それは、後の預言者たちが何度も語るフレーズですが、私の調べたところによると、旧約聖書で一番最初に使ったのは、今日の箇所のサムエルでしょう。
イスラエルの人々も、あなたも、実家を飛び出して放浪している。主はあなたの心の実家だから、ただ、そのままで帰ればいい。不必要な荷物は捨てる。つまり、悔い改めて、外国の神々を捨て、罪を告白する。心一つで主に帰ればいい。実家にはあなたが必要なものはすべてある。主を尊敬し、主を愛し、主と共に生きる。それだけだ。
信仰を持つとは、主に帰ることなのです。

彼らはミツパに集まり、水を汲んで主の前に注ぎ、その日は断食した。そうして、その所で言った。「私たちは主に対して罪を犯しました。」こうしてサムエルはミツパでイスラエル人をさばいた。(6節)

 サムエルは皆の前で水を注いだ。水は、悔い改めた心を象徴している。悔い改めた心は、最も低い心、柔らかな心、澄んだ心だ。私たちも、水のように悔い改めよう。

 上司とのトラブルをきっかけに行方不明になった若い社員がいました。実家のお母さんは心配して、心当たりの繁華街に出掛けて行って行方を探しました。ある日、買い物から帰ると息子が玄関口に立っていました。「ここはあなたの家よ。そんな所に立っていないで、家に入りなさい」と呼びかけると、息子は入ってきたといいます。

 主に帰りましょう。成功談も、お土産も、いりません。水のように注ぎ出された心だけを持って、主に帰ればいいのです。
 主は放蕩息子の父のように、あなたを受け入れてくれます。



2、サムエルが祈る

 ペリシテ人はイスラエルの動きを見て戦いの準備と勘違いしました。私たちが主のもとに戻ると、「敵」は行動を開始します。

そこでイスラエル人はサムエルに言った。「私たちの神、主に叫ぶのをやめないでください。私たちをペリシテ人の手から救ってくださるように。」サムエルは乳離れしていない子羊一頭を取り、焼き尽くす全焼のいけにえとして主にささげた。サムエルはイスラエルのために主に叫んだ。それで主は彼に答えられた。(8~9節)

 主に立ち返った人々は20年前の失敗は繰り返しません。敵が間近に迫っていても、サムエルに祈りの要請をしました。神の助けを信じたのです。
サムエルの祈りには力がありました。「サムエルは御名を呼ぶ者の中にいた。彼らは主を呼び、主は彼らに答えられた。」(詩篇99:6)

サムエルは子羊のいけにえをささげました。かわいい、乳離れしていない小さな羊がささげられるのは旧約聖書でも異例です。主イエスが「世の罪を取り除く神の小羊」(ヨハネ1:29)と呼ばれたことを思い出します。

戦いの勝敗は、人数の多さや勇敢さとは関係なく、神の御手にあるのです。サムエルが祈り、主を礼拝し、全焼のいけにえをささげていると、ペリシテ人の上空で強烈な雷鳴が起きました。イスラエルはその混乱に乗じて、勝利をおさめました。

サムエルが全焼のいけにえをささげていたとき、ペリシテ人がイスラエルと戦おうとして近づいて来たが、主はその日、ペリシテ人の上に、大きな雷鳴をとどろかせ、彼らをかき乱したので、彼らはイスラエル人に打ち負かされた。(10節)

ペリシテ人に占領されていた5つの町まで取り戻し(14節)、戦勝記念に石を一つ据え、「エベン・エゼル」と名づけました。エベンは石、エゼルは助ける。
あなたの番です。主の恵みを受けた時に何かの記念を残しましょう。ノートに記録しましょう。その日を記念日にするのもいいです。感謝する、心に刻む、思い起こす、歌を作る、主をたたえる。どんな方法でも、主の恵みを大切にしましょう。そういう経験の一つ一つが、主との結びつきを深めてくれます。

サムエルはこの後、イスラエルのリーダーとして人々を導きました。「サムエルは、一生の間、イスラエルをさばいた。」(15節)

現代は、サムエルのような、心の指導者、祈り手が必要です。あなたが、家庭でサムエルになってください。学校で、会社で、身近なコミュニティーで、サムエルになってください。祈って下さいと誰かに頼まれる人になりましょう。

→あなたの番です
 □主に帰る
 □あなたの「エベン・エゼル」を作る
 □あなたが、サムエルになる

「わたしに帰れ」(ゼカリヤ1:3)