第1サムエル14:24~46 ひとりよがり


 一人相撲。一人合点。ひとりよがり。独り占め。「ひとり」が付くと悪い印象になりますね。
 今日のテーマは、ひとりよがりです。

 サウル王の姿を鏡として、自分の姿をふり返ってみましょう。

1、事件の背景

 今回の戦は、サウルの息子ヨナタンの勇敢な行動に端を発していました。(1~23節)

ヨナタンは、道具持ちの若者に言った。「さあ、あの割礼を受けていない者どもの先陣のところへ渡って行こう。たぶん、主がわれわれに味方してくださるであろう。大人数によるのであっても、小人数によるのであっても、主がお救いになるのに妨げとなるものは何もない。」(第1サムエル14:6)

ヨナタンと従者は、急な崖をよじ登って敵陣に乗り込みました。人数的にも、地勢的にも不利な戦いでしたが、主に信頼した結果、20人を撃ち殺しました。この結果はペリシテ陣営に大きな不安を与え、その機に乗じてサウルとイスラエル軍が優勢に戦いを進めました。

部下が夢を持てる、部下が自発的に従いたいと思う。そうさせるのが良いリーダーです。ヨナタンは主に信頼し、計画を語ると、従者は進んでヨナタンを助けました。他者をモティベートできるヨナタン、それが真のリーダーです。
それと比べるとサウル王はおそまつでした。恐怖とひとりよがりで兵士を率いました。

敵軍を討伐中、命令を破った者がいるとサウル王が気づき、探してみると自分の息子ヨナタンであることが分かります。(37~43節)「ヨナタン。おまえは必ず死ななければならない。」(44節)とサウル王は処罰を行うつもりでしたが、勝利のきっかけを作った立役者ヨナタンを部下たちが必死でかばったので、処罰は行われませんでした。

サウル王のひとりよがりが、イスラエルの人々を苦しめました。あなたはどうですか。


2、ひとりよがりとは何か

その日、イスラエル人はひどく苦しんだ。サウルが民に誓わせて、「夕方、私が敵に復讐するまで、食物を食べる者はのろわれる。」と言い、民はだれも食物を味見もしなかったからである。この地はどこでも、森にはいって行くと、地面に蜜があった。民が森にはいると、蜜がしたたっていたが、だれもそれを手につけて口に入れる者はなかった。民は誓いを恐れていたからである。(24~26節)

「夕方、私が敵に復讐するまで、食物を食べる者はのろわれる。」サウルは兵士らに命令を出し、民に誓わせました。食べることを禁じた理由は不明です。復讐心で燃え上がって理性を失っていました。部下のことなど何も考えていません。食事を食べる時間がもったいないと考えたのでしょう。
サウルの命令は、①感情的で合理性なし、②命令に従うこと自体が苦しい、③違反すると処罰を受ける、というものでした。

ヨナタンは言った。「父はこの国を悩ませている。ご覧。私の目はこんなに輝いている。この蜜を少し味見しただけで。もしも、きょう、民が見つけた、敵からの分捕り物を十分食べていたなら、今ごろは、もっと多くのペリシテ人を打ち殺していたであろうに。」(29~30節)

「それで民は疲れているのです」(28節)「父はこの国を悩ませている」(29節)「それで民は非常に疲れていた」(31節) 
ヨナタンは、森で見つけた蜂蜜を口にして力を得ていたので、父の命令が間違っていると分かりました。

あまりに空腹になったイスラエルの民は、律法に反して羊や牛を血のままで食べて(32節)しまいました。ひとりよがりが行き過ぎると、耐えてきた人々を暴発させ、愚かな行為に走らせてしまうのです。


3、ひとりよがりを離れて

あなた自身を点検しましょう。「夕方、私が敵に復讐するまで、食物を食べる者はのろわれる。」(24節)あなたはこのような命令を出していませんか。

私も運動部にいた経験がありますが、練習中に水を飲むなと先輩に言われていました。たいていの運動部にも同じような理不尽な規律がありますね。
男性も、会社などで似たような命令を出します。「疲れたと会社で言った者は100ドルの罰金だ。なんだその顔は。お前達といると本当に疲れるよ。(!)」
女性も、家庭で宣言します。「今日からジャンクフード、スィーツはなし。健康のため、玄米職に有機野菜にします」でも一人で隠れてケーキを食べたりします。

律法を破って兵士たちが血のままで食事を取る事態になった時、サウルは反省すべきでした。自分が悪かった。ひとりよがりで人々に罪を犯させた。

サウルは、食べるなでなく、良くやったもっと食べろと言えばよかったのです。
個人的復讐心を捨て、戦いの意義を説明すべきでした。家族と国土を神の栄光のために守るのだ、と言うなら、兵士らの賛同を得たでしょう。

ある老舗旅館の御曹司がアメリカ留学後、若くして社長になりました。アメリカ流のトップダウン方針を導入、詳細なマニュアルを作り、みだしなみを検査、社内がピリピリするようになりました。その結果、百人いた社員の3分の1が2~3年の内に辞めていきました。
彼は自分を見直しました。各部署のリーダーに任せる方針に変え、会社は活性化しました。「任せれば、人は楽しみ、動き出す」それが彼のモットーになり、やがて、彼は再建請負人として世に知られるようになりました。

ひとりよがりをやめて、人々の話を聞きませんか。周囲の人を信頼し、周りの人が笑顔になれるような未来図を描く人になりませんか。

「小人数によるのであっても、主がお救いになるのに妨げとなるものは何もない。」(6節)

→あなたの番です
□ひとりよがりを自己点検しよう
□肯定的未来図を描く人になろう