第1サムエル19:1~24 逃げるダビデ


 豪傑ゴリアテと戦った勇士ダビデが、今日の箇所で逃げ回っています。
 ダビデは4度も逃げ隠れしました。(2、10、12、18節)今日のテーマは、逃げる、です。

1、忠告を聞いて逃げる

サウルは、ダビデを殺すことを、息子ヨナタンや家来の全部に告げた。しかし、サウルの子ヨナタンはダビデを非常に愛していた。それでヨナタンはダビデに告げて言った。「私の父サウルは、あなたを殺そうとしています。それで、あしたの朝は、注意して、隠れ場にとどまり、身を隠していてください。」(第1サムエル19:1~2)

 親友ヨナタンが最新で正確な情報を伝えてくれました。サウル王はダビデを殺すと宣言した、命が危ない、逃げて隠れろ、と忠告したのです。
 ヨナタンは父であり王であるサウルを必死に説得、その結果ダビデはサウル王のもとに戻れました。

 ダビデは友の忠告に耳を傾け、逃げました。
 私たちも親友の忠告を良く聞いて、思い切って逃げましょう。


2、槍から逃げる

ときに主からの悪い霊がサウルに臨んだ。サウルは自分の家にすわっており、その手には槍を持っていた。ダビデは琴を手にしてひいていた。サウルが槍でダビデを壁に突き刺そうとしたとき、ダビデはサウルから身を避けたので、サウルは槍を壁に打ちつけた。ダビデは逃げ、その夜は難をのがれた。(9~10節)

琴を演奏して王の心を静めていたダビデは、サウルの手に槍が握られていた事に気づいていました。危険だ。ダビデはサウルの槍から身をかわし、戦わずに逃げました。

実に理不尽です。不条理です。命を狙われる合理的理由がありません。ダビデは何一つ悪いことはしていないし、サウル王のために命をかけて戦ってきたのです。
ダビデはサウルより強く、戦えばサウルを殺せます。でも、サウルは王であり自分は部下です、また、相手は妻の父です。義理の父を殺すわけにはいきません。

逃げるべき時は、いつも理不尽です。自分が正しくても、逃げなければならない時があります。人生には、戦うべき時もあれば、逃げるべき時もあります。どちらも、同じくらい勇気が必要ですが、撤退のタイミングを見極めるほうが難しいのです。

良く考え、良く祈り、逃げましょう。学校を変わりましょう。引越しましょう。会社を辞めましょう。日本に戻りましょう。あなたの命とあなたの家族を救うためなら、逃げることは勇気ある選択です。


3、窓から逃げる

サウルはダビデの家に使者たちを遣わし、彼を見張らせ、朝になって彼を殺そうとした。ダビデの妻ミカルはダビデに告げて言った。「今夜、あなたのいのちを救わなければ、あすは、あなたは殺されてしまいます。」こうしてミカルはダビデを窓から降ろしたので、彼は逃げて行き、難をのがれた。(11~12節)

 「今夜、あなたのいのちを救わなければ」 異常を察知した妻のミカルは、ダビデを窓から逃がし、ダビデが遠くまで逃げられるように等身大のテラフィムをベッドに入れて監視の目をくらまし時間かせぎをしました。
ミカルのように、危険を承知であなたが逃げるのを助ける人が現れます。また、あなたがミカルになって誰かを助けることもあります。勇気を出して助けましょう。

 自殺の危機から生還した15人の体験談が掲載された『命のメッセージ』という本があります。その中で、株でもうけ、株で失敗し、2500万円の借金を背負った人の話が出てきます。彼は、自殺直前に『たとえ破産しても人生はやり直せる』という本を読み、本の中に出ていた牧師を尋ね、自己破産の道を教えられ、主イエスを信じて人生を再構築しました。その牧師の助言が自殺から守ってくれたのです。

 お金の問題で悩む人がいますか。自己破産は、自殺せずに人生をやり直すための合法的な制度です。

窓から逃げるのはみっともない、などと言ってはいけません。逃げるのです。ミカルのような人が現れます。
また、あなたがミカルの立場になって、誰かを助けることもあります。あなたのそばにダビデがいますか。


4、サムエルの所に逃げる

ダビデは逃げ、のがれて、ラマのサムエルのところに行き、サウルが自分にしたこといっさいをサムエルに話した。そしてサムエルと、ナヨテに行って住んだ。(18節)

 ダビデは逃げ込む場所を探しました。預言者サムエルが頭に浮かびました。ラマという町にいたサムエルを訪ねました。
 大きな問題を抱えた人は、信頼できる人のところに逃げ込みましょう。そして、「いっさい」を話しましょう。そうすると平安がやってきます。この時、自分の失敗のすべてを明らかにしないと適切な助けは受けられません。

 アメリカには、シェルターという制度があり、たとえば家庭内暴力を受けた女性が逃げ込むシェルターがあり、外部の者はその施設がどこにあるのか知ることができません。そうした制度を利用して、安全な日常生活に戻った人を私は知っています。

 その後、誰かがダビデの居場所をサウルに密告。(19節)サウルの部下が派遣され、ダビデは逮捕の危機に陥りました。

そこでサウルはダビデを捕えようと使者たちを遣わした。彼らは、預言者の一団が預言しており、サムエルがその監督をする者として立っているのを見た。そのとき、神の霊がサウルの使者たちに臨み、彼らもまた、預言した。サウルにこのことが知らされたとき、彼はほかの使者たちを遣わしたが、彼らもまた、預言した。サウルはさらに三度目の使者たちを送ったが、彼らもまた、預言した。(20~21節)

最後にサウル自身がやって来ても同じ状態になり(22~24節)、ダビデは難を逃れました。万事休すと思える時には、主ご自身が助けて下さいます。


 今日の箇所は、何年にも及ぶダビデの逃亡生活の入り口に過ぎません。この逃亡生活がダビデを真の信仰者にしました。彼の苦しみの経験が祈りとなり詩篇として書き残され、後に、多くの人を慰めることになります。苦しみの経験は無駄にはなりません。
この時の心境をダビデが歌にしたのが詩篇59篇です。

「しかし、この私は、あなたの力を歌います。まことに、朝明けには、あなたの恵みを喜び歌います。それは、私の苦しみの日に、あなたは私のとりで、また、私の逃げ場であられたからです。」(詩篇59:16)

「こうしてミカルはダビデを窓から降ろしたので、彼は逃げて行き難をのがれた。」(12節)

→あなたの番です
 □今は、逃げる時ですか。希望を持って逃げましょう。
 □あなたにとって、助けを求めているダビデとは誰ですか。
 □主ご自身が助けてくれると信じますか。