創世記24:1~27  水を汲むリベカ


 創世記24章は、お嫁さん探しの物語です。
将来の結婚相手を探している人にとっては、とても示唆に富んだ内容です。大事なポイントは二つ。第一に、結婚相手に何を望むのかを祈りながら絞り込む。第二は、この人だと分かったら思い切って飛び込むということです。

 もちろん、24章は、その他の人々にとっても有益です。何が最も大事なのか。それが、人生を決めます。


1、嫁の条件

 主に祝福されて老年を迎えたアブラハムは(1節)、最後の気がかりとなっていた息子イサクの嫁探しを最年長のしもべに正式に委託しました。(2節)イサクの嫁がどんな人であるべきか、アブラハムは考え抜いて条件を絞り込んでいました。

私はあなたに、天の神、地の神である主にかけて誓わせる。私がいっしょに住んでいるカナン人の娘の中から、私の息子の妻をめとってはならない。あなたは私の生まれ故郷に行き、私の息子イサクのために妻を迎えなさい。(創世記24:3~4)

アブラハムの考えた嫁の条件は二つ。アブラハムの親戚であること。そして、結婚のために実家を出てパレスチナまで来てくれることです。
アブラハムの親戚から選ぶということは、同じ信仰を持つ人という意味でしょう。リベカの兄が「主に祝福された方」(31節)と述べたり、「このことは主から出たこと」(50節)と結婚に賛同した姿を見ると、リベカが主を信じる家族の一員だと分かります。
結婚のため実家を離れてパレスチナまで来てくれることも重要です。主はアブラハムにパレスチナの地を与えると約束されましたが(7節)、約束の継承のためにパレスチナに地に住むことは必須条件だったのです。

イケメン、または美人、金持ち、心優しく、リーダーシップがあり、スポーツが上手で、考え深く、背が高く、東大卒、ユーモアたっぷりで、人の話を聞き、バイリンガルで、同じ趣味、ファッションの趣味が良くて…、などと結婚相手への条件を持っている人はもっと絞り込む必要があります。将来の伴侶に、一番何を望みますか。

あなたの未来を輝かせたいなら、今、あなたにとって何が本当に大切なものか、考えてみて下さい。
何が本当に大事なのかを絞り込みましょう。そのテーマを良く考え、祈り、主の導きをもらいましょう。



2、走るしもべ

 アブラハムのしもべは、らくだの背に揺られて長い旅をしてユーフラテス川近くの親戚が住む場所にやって来ました。その間、主の導きを求めて祈りました。アブラハムのしもべは、アブラハムに示された2つの基本方針を土台としながら、イサクという人物に似合う人はどんな人かをさらに具体的に絞りました。

彼は夕暮れ時、女たちが水を汲みに出て来るころ、町の外の井戸のところに、らくだを伏させた。そうして言った。「私の主人アブラハムの神、主よ。きょう、私のためにどうか取り計らってください。私の主人アブラハムに恵みを施してください。ご覧ください。私は泉のほとりに立っています。この町の人々の娘たちが、水を汲みに出てまいりましょう。私が娘に『どうかあなたの水がめを傾けて私に飲ませてください。』と言い、その娘が『お飲みください。私はあなたのらくだにも水を飲ませましょう。』と言ったなら、その娘こそ、あなたがしもべイサクのために定めておられたのです。このことで私は、あなたが私の主人に恵みを施されたことを知ることができますように。」(11~14節)

 見知らぬ人に水をくれる人。また、らくだ10頭に自発的に水を与える人。この二つに条件を絞りました。つまり、内面的には心優しい人であり、外面的には具体的に行動できる生活力のある人です。

 水汲み場にリベカが来ました。おそらく年長者であろうしもべが「走って行き」(17節)、私は水戸のちりめん問屋の隠居で(違いますね)、水を飲ませてほしいと言うと、リベカはすぐに飲ませてくれて、らくだのためにも水を汲もうとして「走って行き」(20節)ました。しもべは、その姿を感動を持って見ていました。水汲み作業は重労働なのです。

 この人は、主が自分の旅を成功させてくださったかどうかを知ろうと、黙って彼女を見つめていた。(21節)

 見知らぬお嬢さんの名前を聞くと、アブラハムの兄弟の孫であることが分かり、しもべは驚きと恐れをもってその場にひざまずき、主を礼拝して言いました。「私の主人アブラハムの神、主がほめたたえられますように。主は私の主人に対する恵みとまこととをお捨てにならなかった。主はこの私をも途中つつがなく、私の主人の兄弟の家に導かれた。」(26~27節)

 この出来事で分かることがあります。主は、導きを祈り求める人に、行くべき道を示してくださる方だということです。私たちの神は、私たちの人生の道案内となって下さるのです。
今、あなたは導きを求めていますか。祈って条件を絞り込みましょう。何が、本当に大切な事なのかを見極めましょう。これだと分かったらチャンスを逃がさず決断し、行動しましょう。



3、リベカの決断

するとラバンとベトエルは答えて言った。「このことは主から出たことですから、私たちはあなたによしあしを言うことはできません。ご覧ください。リベカはあなたの前にいます。どうか連れて行ってください。主が仰せられたとおり、あなたの主人のご子息の妻となりますように。」(50~51節)

 リベカは、この一連の出来事を兄のラバンに知らせました。ラバンは、しもべのあかしを聞いて主の導きを確信、リベカを嫁に出すことを賛成しました。しもべは、再びひれ伏して主を礼拝し(52節)、結納金としての金銀を渡しました。(53節)

 次の日になると、リベカを今日連れ帰りたいとしもべは申し出ました。リベカは即決即断、うばと次女たちを伴い約束の地に旅立ちました。(54~61節)

それで彼らはリベカを呼び寄せて、「この人といっしょに行くか。」と尋ねた。すると彼女は、「はい。まいります。」と答えた。そこで彼らは、妹リベカとそのうばを、アブラハムのしもべとその従者たちといっしょに送り出した。(58~59節)

 「はい、まいります。」これは、信仰と勇気に裏付けられた言葉です。チャンスを逃さない人です。

 2009年1月15日、USエアウエイズの1549便はニューヨーク空港を離陸、1分半後に鳥が2つのエンジンに飛び込み飛行不可能となりました。バードストライクです。サレンバーガー機長は、瞬時に何が大事なことなのかを判断しました。乗客150人の命と、付近に生活している人々の命を守る。選んだ手段は、ハドソン川に着水することでした。水平に着水できなければボディーは真っ二つに折れて多数の犠牲者が出るので細心の注意を払いみごとな緊急着陸をやり遂げました。
 3人のフライトアテンダントはいずれも50歳過ぎのベテランで、一人残らず乗客を機外に脱出させることができました。彼女たちも、何が一番大事なことかを分かっていました。機長は最後まで機内に残り、客席を2度往復して一人も残っていないと確認してから機外に脱出しました。沈み行く飛行機内での誘導は犠牲的精神がなければ決してできません。
 何が大事か。それさえ分かれば、飛行機一機を水没させても、悔いは残らないのです。

 アブラハムのしもべは、最も大切な事は何かと祈りつつ絞り込みました。その結果、主の導きを見極めることができ、勇気を持って行動することができました。

あなたの未来が輝くために、あなたの明日が主の栄光をあらわすために、最も大切なことを絞り込み、それを勇気を持って実行しましょう。
主イエスは同じ趣旨のことを以下のように語っておられます。

「どうしても必要なことはわずかです。いや、一つだけです。」(ルカ10:42)

→あなたの番です
 □最も大切な事が何かを絞り込む
 □導きの主を信頼して、勇気を持って行動する