オバデヤ、ヨナ、ナホム、ハバクク、ゼパニヤ書


 今日は、オバデヤ、ヨナ、ナホム、ハバクク、ゼパニヤ書をまとめて取り上げます。これらは「小預言書」と呼ばれる13書のうちの5つです。
この5つの書の基本テーマは「滅び」です。さて、将来に滅びが待っていると分かったなら、あなたはどうしますか。どういう気持ちで生きていきますか。

ヨナ書以外は、紀元前600年前後に書かれています。


1、オバデヤ書 

オバデヤの幻。神である主は、エドムについてこう仰せられる。私たちは主から知らせを聞いた。使者が国々の間に送られた。「立ち上がれ。エドムに立ち向かい戦おう。」見よ。わたしはあなたを国々の中の小さい者、ひどくさげすまれる者とする。あなたの心の高慢は自分自身を欺いた。あなたは岩の裂け目に住み、高い所を住まいとし、「だれが私を地に引きずり降ろせようか。」と心のうちに言っている。あなたが鷲のように高く上っても、星の間に巣を作っても、わたしはそこから引き降ろす。――主の御告げ。――
(オバデヤ書1:1~4)

 預言者オバデヤは、南王国ユダの南東に位置する隣国、エドムの滅びを預言しました。エドムは、アッシリヤに協力してエルサレム滅亡を喜び、滅亡に加担したことから、滅びを宣告されました。


2、ヨナ書  

太陽が上ったとき、神は焼けつくような東風を備えられた。太陽がヨナの頭に照りつけたので、彼は衰え果て、自分の死を願って言った。「私は生きているより死んだほうがましだ。」すると、神はヨナに仰せられた。「このとうごまのために、あなたは当然のことのように怒るのか。」ヨナは言った。「私が死ぬほど怒るのは当然のことです。」主は仰せられた。「あなたは、自分で骨折らず、育てもせず、一夜で生え、一夜で滅びたこのとうごまを惜しんでいる。まして、わたしは、この大きな町ニネベを惜しまないでいられようか。そこには、右も左もわきまえない十二万以上の人間と、数多くの家畜とがいるではないか。」
(ヨナ書4:8~11)

 預言者ヨナは第2列王記14:25にも言及されています。
 アッシリヤ帝国はユダヤ人の敵であり、その首都ニネベはユダヤ人が大嫌いな町でした。そのニネベに行って滅びの警告を語りなさい、と主は預言者ヨナに命じました。ヨナは、ユダヤ人至上主義者だったのでニネベの救いを嫌がり、正反対のタルシシュに逃げました。荒海で大魚に飲み込まれ3日間苦しんだ末やっと命令に従いました。「もう40日するとニネベは滅ぼされる」(ヨナ3:4)とヨナはニネベで叫びました。ニネベの人々はそれを聞いて悔い改めました。滅びが猶予されたのを見てヨナは死にたいほど不機嫌になりました。

 外国人の船乗りの誠実さとニネベの人々の正直さがヨナ書では際立っています。それに比べてヨナは偏狭で苛立ちやすい人間です。ヨナはニネベの人が滅ぼされることを期待していたのです。

ヨナ書は、主が世界の人々の救いを望んでおられるということを明確に語っています。主がアブラハムを選んだのは地上のすべての民族がユダヤ民族によって祝福されるためでした。ユダヤ人は、この使命を忘れ、選民意識で他民族を見下し、神から離れ、滅びてしまいました。世界の人々の救い阻むものがユダヤ人の愛国心であり、プライドであり、偏見だとヨナ書は教えています。

あなたに、嫌いな国や民族がありますか。神はその人たちも救いたいと願っています。


3、ナホム書  

ニネベに対する宣告。エルコシュ人ナホムの幻の書。主はねたみ、復讐する神。主は復讐し、憤る方。主はその仇に復讐する方。敵に怒りを保つ方。(ナホム書1:1~2)

 ナホム書にはニネベの滅びが語られています。悪を悔い改めたニネベの人もまた逆戻りして神を忘れました。ニネベの「破壊、滅亡、荒廃」(ナホム2:10)は避けられません。


4、ハバクク書  

この幻は、なお、定めの時のためである。それは終わりについて告げ、まやかしを言ってはいない。もしおそくなっても、それを待て。それは必ず来る。遅れることはない。見よ。心のまっすぐでない者は心高ぶる。しかし、正しい人はその信仰によって生きる。
(ハバクク書2:3~4)

 エルサレム崩壊が近くなった頃、預言者ハバククは町に正義が失われたことを嘆き、解決を主に求めました。アッシリヤの次に起こったバビロニア帝国(カルデヤ人)によってユダの悪者を滅ぼす、という神の回答を聞いてハバククは驚きました。凶悪なカルデヤ人の処遇を神に尋ねると、カルデヤ人もやがて滅ぼすと主は言われました。

自分が望んだ現実にならなくても、神の最善が為されると受け止める。
それが信仰によって生きるということです。カルデヤ人が攻め寄せて果樹や家畜をすべて失ったとしても、ハバククは主にあって喜ぶと心に決めました。
パウロは、このハバククの短い一節から信仰者の基本をくみ取り、ローマ1:17で触れています。滅びが予想される時でも、死が迫る時でも、私たちは信仰によって生きることができるのです。


5、ゼパニヤ書  

わたしの手を、ユダの上に、エルサレムのすべての住民の上に伸ばす。わたしはこの場所から、バアルの残りの者と、偶像に仕える祭司たちの名とを、その祭司たちとともに断ち滅ぼす。(ゼパニヤ書1:4)

 「主の日が来る」と7回も警告があります。預言者ゼパニヤはエルサレムの滅びを預言しました。破滅の先には、捕囚の民の帰還、都の再建、そして、神が人々の中に住む日が来ると預言しました。ゼパニヤは、滅びを前にしても、その先にある希望を見上げました。主が、私たちの中におられるなら、恐れず、気力を失わずに生きることができるのです。

主はあなたへの宣告を取り除き、あなたの敵を追い払われた。イスラエルの王、主は、あなたのただ中におられる。あなたはもう、わざわいを恐れない。その日、エルサレムはこう言われる。シオンよ。恐れるな。気力を失うな。あなたの神、主は、あなたのただ中におられる。救いの勇士だ。主は喜びをもってあなたのことを楽しみ、その愛によって安らぎを与える。主は高らかに歌ってあなたのことを喜ばれる。(ゼパニヤ3:15~17)


 まとめましょう。5つ小預言書全体から分かることは次のことです。
滅びはある。主は世界を本当に裁く方である。
ゼパニヤの預言通り、エルサレムは紀元前586年に滅びました。エルサレムの滅亡を喜んだ隣国エドムは滅ぼされました。ナホムの預言とおり、アッリシヤ帝国の首都ニネベも滅びました。ハバククが言ったように、エルサレムを破壊したカルデヤ人のバビロニア帝国も滅びました。
滅びを前にしても、願い通りにならくても、恐れず、信仰によって歩むことが可能です。

預言者ヨナの愚かな姿から学びましょう。民族至上主義は間違っています。神は、悪者が滅びることを望まず、世界のすべての民族が救われ、協力して神の国を建設する日を待ち望んでおられます。
 内村鑑三は、二つのJを愛すと言いました。Jesus(主イエス)と Japanです。世界に貢献できる日本にするのが本当の愛国心だと内村は述べました。

アメリカに生活する私たちは英語を理解し話せます。だから英語でも主イエスの福音を誰にでも伝えましょう。

 →あなたの番です
  □神は、警告する方、滅ぼす方
  □民族至上主義に陥ってはいけない
  □人種と国と文化を越えて主イエスの福音を伝えよう