マタイ6:9  天の父よ

 「主の祈り」の冒頭部分の意味を考えてみましょう。

1、父よ

だから、こう祈りなさい。「天にいます私たちの父よ。御名があがめられますように。」
(マタイ6:9)

ユダヤ人は昔から、神の本来の名前を口に出すことすら遠慮してきました。ですから、主イエスが神を父と呼んだ事にとても驚きました。
父と呼びかけて祈るようにと言われた主イエスの意図はどこにあるのでしょう。神を完全者や、隔絶者、遠い方として考えず、もっと近く感じ、神が温かいお父さんであることを意識するようにという勧めです。

父さんと呼びかけて祈るなら、どんな気持ちが湧き出てきますか。一人、静かな時に、父さんと祈ってみて下さい。
あなたのお父さんは、アルコール依存や暴力を振るう人間や借金作って蒸発した最低の人間かもしれません。そういう時は、本来の良い部分が出た時の優しいお父さんを何千倍にもふくらませて、父よと神を呼んでください。

 主イエスは、いつも神を父と呼んで親しく語りかけておられました。主イエスが最も苦しまれたゲッセマネの祈りの時には、「アバ、父よ」(マルコ14:36)と呼びました。ご自分を十字架につけた人々の罪の赦しを求めた時も、「父よ」と呼びかけておられます。(ルカ23:34)

神に対して「父さん」と呼びかけて下さい。そうすると、あなたの祈りも、あなたの信仰も、変化します。



2、御名があがめられるように

だから、こう祈りなさい。「天にいます私たちの父よ。御名があがめられますように。」
(マタイ6:9)

 多くの人は、「神よ」と呼びかけたすぐ後に、買い物リストのような願い事を並べます。神よ、彼女が見つかりますように、勉強せずにエール大学に入れますように。あるいは、「神よ」と呼びかけたら、不平や怒りをぶつける人もいます。祈りの最初は、「御名があがめられますように」と、神をたたえる言葉で始めましょう。

 もしアナハイムに、大谷さんという日系人が住んでいて、病院や薬局で名前を呼ばれたら、きっと周囲の人は驚いて、「あなたはエンジェルズの大谷選手の親か親戚か?」と聞いてくるでしょう。そして、あなたが親戚でないと分かっても、大谷選手の活躍をたたえる言葉を聞くことでしょう。それが、名前がほめたたえられることです。

祈りの最初に、神を賛美しましょう。祈りの冒頭で、神をたたえましょう。礼拝や賛美のない祈りは、神を使用人や自動販売機のように取り扱ってしまうのです。神を祈りの最初にたたえると、祈りの内容が変化します。やってみればすぐに分かります。
父さん、父さんは本当に凄いよ、父さんは何でも知っているね、どんな時も愛してくれて、苦しい時も助けてくれる。みんなに、父さんのことを知ってもらいたい。

 御名があがめられるようにという祈りは、第一に、個人的な賛美であり、礼拝です。第二に、周囲の人々にも神を知ってもらいたいという願いです。
 世界のすべての人がまことの神を知ってくれたら、世界は良くなります。全世界で神の御名があがめられることを願う祈りです。これは世界宣教のための祈りです。

 あなたの周囲の誰に、まことの神を知ってもらいたいですか。あの人の口からも、神の御名をたたえる言葉が出ますように、と私たちも祈りましょう。

 私が若い時、結婚の許可をもらいに妻の実家に行き、彼女の父親に話しました。結婚後、私は家内の父を「おとうさん」と呼び始めました。「お父さん」と私が呼べば、義理の父は私のことを息子と認識します。
 同じことが、信仰の世界でも起きています。私たちが神を父さんと認識するなら、神も私たちを子供と認めて下さいます。

 私たちはキングダムビルダーです。自分の力や努力だけでは、神の国は作れません。キングダムビルダーは、祈りによって神の国を作ります。神を父と呼び、神がたたえられることを求める祈りによって、神の国が作られます。さあ、主の祈りを祈りましょう。

「天にいます私たちの父よ。御名があがめられますように。」

 →あなたの番です
  □神を、お父さんと呼ぼう
  □祈りの最初に、神があがめよう