主の計画 創世記45章

 1944年、コーリー・テン・ブーム(Corrie ten boom 1892-1983)は占領下のオランダでドイツ軍に逮捕された。コーリーは52歳のクリスチャン女性で、ユダヤ人を保護した理由で捕らえられ、ラベンスブルクの収容所に送られ、その間に父も姉も死亡、からくも事務処理の単純ミスで釈放された。戦後ドイツで後援を行い、礼拝で神の赦しを語った後、見覚えのあるドイツ人男性が前に進み出た。残酷きわまりない看守がクリスチャンになっていて、「私をゆるしてくれますか」と手を差し伸べてきた。コーリーは、祈りながら手を出した時、電流が流れるようにして神の愛を感じた。


1、心を開く

 赦すとは何だろう。それは、自分の心を開くこと。また、握り締めていた武器を捨てること。

 ヨセフは本来兄たちを赦すつもりはなかった。ところが、ユダの真実な心に触れ、涙と共に冷たい心が流れ去った。

「ヨセフは兄弟たちに言った。『私はヨセフです。父上は元気ですか。』」(創世記45:3)
「私はあなたがたがエジプトに売った弟のヨセフです。」(45:4)

 ユダの真実な心に触れたとき、ヨセフは頑なな態度を一変させ、泣き崩れた。優しい心や真心に触れると、温かい気持ちがわいてくる。

 ヨセフは、隠していた自分の素性を明らかにし、予定していた自己本位の計画を捨て去った。ヨセフは言葉で、「ゆるす」とは言っていないが、言葉と態度が赦しを物語っている。

 あなたの敵対者は誰ですか。あなたは、いつまで自分の本当の優しさを隠して生きていくのですか。手に握り締めた憎しみと復讐という武器を捨てましょう。すべて捨て去った手で、その人を抱きしめればいいのです。

 ドクター・ドブソンの本に、グレッグ・クレブスさんとその息子の話がでていた。生まれつき体が不自由で、脳性麻痺で生まれたクリスが7歳のときのことです。父親は妻の職場の病院に息子を連れて待合室で帰りを待っていました。近くにホームレスの男性がいました。父親が妻の残業が終わる時刻を尋ねて戻ってくると、男が声を殺して泣いていました。「すみません、息子が何かひどいことをしでかしましたか」と尋ねると、「俺は20年間、誰にも抱きしめられたことがなかったが、おたくの坊やがさっき私をハグしてくれたんだよ」と応えました。

 人の優しさに出会うと、私たちは心が一変します。敵対している人にも、そんな真心が隠れています。神が、その優しさをあなたに見せてくださいますように。
 

2、神の計画に気づく

 ヨセフは兄たちを赦しただけでなく、神の大きな計画に同時に気づきました。

「今、私をここに売ったことで心を痛めたり、怒ったりしてはなりません。神はいのちを救うために、あなたがたより先に、私を遣わしてくださったのです。」(45:5)

 振り返ると苦悩の多い人生でしたが、そこに神の計画があることをヨセフは理解しました。17歳の時に見た夢は、神の計画をあらかじめ私に知らせてくださったのだと合点がいきました。

 神の目的とは、神の期待と言い換えることができます。人間にとって最も幸せな人生は、神の目的、計画に沿った生き方をすることです。

 あなたは自分の欲望を達成するだけの、ちっぽけな人生を送るだけで満足ですか。

 ギャリー・ホーガン(Gary Haugen) ハーバード大学、シカゴ大学を卒業の法律専門家で、南アフリカのアパルトヘイイト処理でツツ主教の下で働き、フィリピン警察や軍隊の権威乱用問題に対処、米国司法省で働いた後、国連で人権問題に取り組み、International Justice Missionを創設してアフリカやアジアでの寡婦、孤児問題、人身売買、奴隷、監禁、拷問などの問題に12カ国以上で対処している。正義の働きは、神の働きとして、祈りながら実際的に対処している。こうした生き方に私は感動します。

 バイオラ大学で25年学長を務めたクライド・クック学長(Clyde Cook 1935-2008)が今年4月11日に召された。クック学長は、ご自分が何のために生きているのか明瞭に理解しておられた。多くの学生は、学長と学生食堂で話した、学長は私の名前を覚えていた、そっと昼食代をおごってくれた、娘が入院したときお見舞いに来てくれた、大学職員の結婚式には必ず出席した、そして、ある卒業生は「学長は毎年きまって、留守番電話にハッピーバースデイの歌を吹き込んでくれた」と語った。世界を変えるために学生を育てるという目的のため生涯をささげた人であった。

 あなたはなぜ、カリフォルニアにいるのでしょう。神は、あなたに何を期待しておられるのか。これから、神のために何をしますか。

 ヨセフが自分の目的に気がついて、世間の評判とか、地位とか、一切気にしないで、神のために生きた姿は実に爽快です。次はあなたの番です。

「わたしはあなたがたのために立てている計画をよく知っているからだ。」(エレミヤ29:11)

「人は心に計画を持つ。主はその舌に答えを下さる。」(箴言16:1)

「あなたのしようとすることを主にゆだねよ。そうすれば、あなたの計画はゆるがない。」(箴言16:3)

 7月2日日本で14階建てビルの12階部分のひさしに38歳の女性が乗り、飛び降り自殺を図ろうとした。高さは地上50メートル、幅は75センチしかない。
 消防隊員がはしご車で近づき説得すること30分。「みんなが心配してるよ」「私のことなんか誰も心配していない」背中を向けた女性のベルトをつかんで、消防隊員は命綱で自分と女性をつないだ。抵抗して暴れた女性に、「あなたが落ちれば私も一緒に落ちるよ」と声をかけ、救出された。

 私はこのニュースを知って、イエス・キリストの十字架を思い起こした。イエス・キリストは、まさにあなたに命綱をくくりつけ、あなたは私の目に高価でたっとい、私はあなたを愛しているよと言っているように私には感じられる。主イエスはあなたを期待している。その愛にこたえよう。