賜物を生かして仕えることが、幸福になる秘訣 使徒9:36~42

 人は、何かを所有していない時に不幸だと感じます。もしあなたが本当に幸せになりたいなら、自分の持っているものを誰かに与えましょう。
 
1、タビタの生き方

 使徒9章に登場するタビタ(ギリシア語でドルカス)の人柄を表す3つの言葉があります。
1)「女の弟子」(使徒9章36節)
2)「多くの良いわざと施し」(36節)
3)「作ってくれた下着や上着の数々を見せる」(39節)

 タビタはヨッパという地中海沿いの町に住んでおり、「女の弟子」と呼ばれています。キリストに似た者になることを願い、キリストの心を実行する人生を歩んできたので、弟子と呼ばれたのでしょう。使徒の働きで唯一「女の弟子」と呼ばれた人です。
 タビタは病気になり亡くなりましたが、他の弟子たちは遺体の処置を終え、近くを訪れていたペテロを呼びに行きました。死んだのです。本来はどうにもなりません。それでも、弟子たちはいてもたってもいられず、ペテロを急いで呼びに行きました。何かに突き動かされるように、主に期待したのです。タビタの生前の人柄がそうさせたのでしょう。
 ペテロが到着し、遺体の安置されている部屋に入ると、数人のやもめたちがペテロを取り囲み、ドルカスが作ってくれた衣類を見せては泣き崩れたのでした。
 下着や上着の数々は、ドルカスの愛、友情、優しさ、細やかさを表す印でした。「多くの良いわざと施し」をしていた証拠です。ドルカスはやもめたちに慕われていました。

 ペテロは皆を外に出し、ひざまずき祈りました。ペテロは生まれた初めての大胆な祈りをしました。死んだ人を生き返らせてほしいと。そして遺体を向いてこう言いました。「タビタ。起きなさい。」(使徒9:40)
 40節によると、タビタはまず目を開け、次に、ペテロを不思議そうに見つめながら、起き上がったのです。その場の雰囲気を伝える生き生きした表現です。

 タビタは取り立てて能力のある人ではありません。当時の女性なら誰にでもできた針仕事を、誰にもできない形で用いたことがタビタの優れた点なのです。

2、人に与えることは神に与えること

 誰かのために親切にし、愛を具体的に表し、持っている物を与える行為は、究極的には神に対してする行為になります。主イエスも以下のように言っておられます。

 「あなたがたが、これらのわたしの兄弟たち、しかも最も小さい者たちのひとりにしたのは、わたしにしたのです。」(マタイ25:40)

 だから、あなたは人に仕えながら、神に仕えているのです。

3、あなたの賜物は何か

 あなたの賜物は何でしょう。リック・ウォレンの説明によれば以下の5つの事柄が私たちの賜物と深く関連した事柄です。以下の空白を埋めてください。

神から頂いた特別な賜物は[              ]              
興味や喜び、夢を持つ分野は[              ]             
あなたの持っている能力・技能は[              ]               
あなたはどんな性格[              ]              
どんな人生を経験してきたか[              ]              

 昨年洗礼を受けられたTさんが昨日天に召されました。高齢であることと、呼吸困難な健康状態で酸素ボンベが必要なので自宅療養されていました。亡くなる前に娘さんたちと祈られたのですが、祈った内容は私たちの教会のことでした。私たちの教会をこよなく愛しておられました。また教会が祝福されることを自分のことのように喜んでおられました。
 タビタとTさんが私の心の中で重なりました。

 最後にもう一つお話したいことがあります。あなたが持っている最大の賜物は、あなたという存在です。あなたがいてくれることが一番すばらしいのです。

 さあ、あなたが持っている能力と物資と経験を誰かのために使ってください。そのとき、あなたは自分が幸せになっていることに気づくでしょう。誰にでもできる針仕事を、誰にもできない方法と愛で多くの人を励ましたタビタを模範にしましょう。

「それぞれが賜物を受けているのですから、神のさまざまな恵みの良い管理者として、その賜物を用いて、互いに仕え合いなさい。」(第1ペテロ4:10)