創世記7~8章 大洪水と鳩



 大洪水を題材にした神話が、ギリシア、中近東、中国、エジプト、ポリネシア、南米、インド、アメリカ・インディアンなど、つまり世界中にあります。舟を作った、8人が助かった、山より高い大洪水だった、鳩が放たれた、という内容を含むものまであります。
 今日は、舟の中にいたノアたちの心に寄り添ってみましょう。

1、洪水の始り

 あと7日で洪水が来る、大雨は40日続く(4節)と主はノアに教えました。この情報はノアにとって大きな助けになりました。動物たちは、ノアが連れて来たというより、「はいって来た」(9節)という状態でした。準備が完了した7日後、「それから、主は、彼のうしろの戸を閉ざされた。」(15節)箱舟のドアは神が閉められました。私たちの人生の扉を閉じるのも神がなさることです。

ノアは、すべて主が命じられたとおりにした。大洪水が起こり、大水が地の上にあったとき、ノアは六百歳であった。ノアは、自分の息子たちや自分の妻、それに息子たちの妻といっしょに、大洪水の大水を避けるために箱舟にはいった。きよい動物、きよくない動物、鳥、地をはうすべてのものの中から、神がノアに命じられたとおり、雄と雌二匹ずつが箱舟の中のノアのところにはいって来た。それから七日たって大洪水の大水が地の上に起こった。ノアの生涯の六百年目の第二の月の十七日、その日に、巨大な大いなる水の源が、ことごとく張り裂け、天の水門が開かれた。そして、大雨は、四十日四十夜、地の上に降った。(創世記7:5~12)

 ノアが600歳の時の第2の月17日(7:11)に洪水が始り、ノアが601歳の2月27日(8:14)に箱舟から出ました。つまり、ノアたちが舟の中にいたのは約1年ということになります。ただし、この日数は知らされていません。
 最初の40日と40夜は豪雨が続きました。太陽を見ることなく1ヶ月以上が過ぎたのです。薄暗い箱舟の中には、ノア夫妻と3人の息子夫婦がおり、たくさんの動物も息を潜めていたことでしょう。

 今、あなたも、先の見えない人生の豪雨に閉ざされていませんか。
 

2、希望のハト

 40日の豪雨が終わり、すべての生き物は死に絶えました。(21節)水は150日間増え続けました(24節)。豪雨だけでなく、「巨大な水の源」(11節)が張り裂けたことが原因で水が増え続けたのでしょう。
150日を区切りにして水は減り始めました。第7の月に舟はアララテ山にとどまり(8章4節)、第10の月には山の頂上が表れ、第11月にノアはカラスを放ちました。(7節)水は全面をおおっていたので、カラスは出たり、戻ったりしました。

それからなお七日待って、再び鳩を箱舟から放った。鳩は夕方になって、彼のもとに帰って来た。すると見よ。むしり取ったばかりのオリーブの若葉がそのくちばしにあるではないか。それで、ノアは水が地から引いたのを知った。それからなお、七日待って、彼は鳩を放った。鳩はもう彼のところに戻って来なかった。ノアの生涯の第六百一年の第一の月の一日になって、水は地上からかわき始めた。ノアが、箱舟のおおいを取り去って、ながめると、見よ、地の面は、かわいていた。(10~13節)

 なぜ、オリーブの葉のことが書かれているのでしょう。みずみずしいオリーブの緑の葉が、ノアたちにとって希望の印になったのです。オリーブの種が芽を出したのかもしれない。生き残った大きなオリーブの木が、水面に顔を出したのかもしれない。それは、洪水後の新しい世界の希望の象徴となりました。
希望とは、暗闇に輝くかすかな光のことです。わずかな前兆でも、明日への励みとなります。あなたにとってのオリーブの若葉は何ですか。それが、あなたに希望を与えてくれます。

「The 33」という映画が2015年11月に公開されます。2010年8月、チリのサンホセ鉱山で落盤事故が起き、地下700メートル、温度35度、湿度90%の環境に33人が閉じ込められた実話をもとにしています。事故から17日後、直径8センチのドリルが地下の待避所まで届きました。我々33人は無事だという手紙その先端に付け、地上との連絡が始りました。生存者の多くはカトリックのクリスチャンで、69日後に救出されるまで祈りが大きな支えになったといいます。

33人の中の一人、ホセ・エンリケス(55歳)は福音派の牧師でした。地上と連絡が取れない最初の2週間の間、最も希望のない時に、みんなから祈ってほしいと頼まれたといいます。ホセはみんなに「牧師」と呼ばれるようになり、礼拝と祈りを導き、みんなを励ましました。
地上と地下を行き来して、食料や生活必需品を送り込むカプセルに、「ハト」という名前がつけられました。今日の箇所から考えると、とても意味深い命名ですね。
33人分の聖書も取り寄せられました。キャンパスクルセードは、33人にTシャツを送りました。彼らは地下でこのTシャツを着ました。前面にイエスさま感謝します、裏面に「地の深みは主の御手のうちにあり」(詩篇95:4)と書かれてありました。

ノアたちは不安な思いで箱舟の中にいたことでしょう。この生活はいつ終わるのか。世界はどうなっているのか。この後、生き延びられるのか。地下に閉じ込められた33人に近い心境だったかもしれません。でも、主はノアたちから目を離しませんでした。私たちに対しても主は心を留めておられます。

神は、ノアと、箱舟の中に彼といっしょにいたすべての獣や、すべての家畜とを心に留めておられた。(8:1)

地面が乾き切ると、主の命令に従い、ノアと動物たちは外に出ました。(8:16~18)ノアたちが最初にしたのは、主に感謝をささげることでした。大切に保護してきたきよい動物の中から、いけにえを主にささげました。(8:20)
主は、洪水により二度と地をおおうことはないと約束されました。(21~22節)

今日、心に刻みたい聖句は次の聖句です。「むしり取ったばかりのオリーブの若葉がそのくちばしにあるではないか。」(8:11)
人生の豪雨や暗闇の時、あなたのオリーブの葉を見て、勇気をもらいましょう。

→あなたの番です
 □困難な時に、主は私たちを心に留めておられる
 □あなたにもオリーブの若葉がある。希望を持とう。