創世記12:1~20 アブラハムの平凡と非凡


 12章から創世記の後半部分が始まります。堕落した人類と混乱した世界を救うため、神は一人の人物を選ばれました。それがアブラム(後のアブラハム)です。

 アブラムは主からの招きに応答してカナンの地に移住しました。これは大きな冒険でした。その後、約24年間、彼は平凡な毎日を過ごします。それでは、なぜ、アブラムが信仰の父と呼ばれるのでしょうか。

1、平凡な生活?

その後、主はアブラムに仰せられた。「あなたは、あなたの生まれ故郷、あなたの父の家を出て、わたしが示す地へ行きなさい。」(創世記12:1)

 アブラムの父親テラは、チグリス・ユーフラテス川下流のウルの町から中流地域のハランという町に移住しました。テラは3人の息子、アブラム、ナホル、ハランとその妻も連れて行きました。テラはカナンに行く計画を中断し、そこで死にました。(創世記11:27~32)そんな時に、アブラムに神の声が迫ってきました。「わたしが示す地へ行きなさい。」

アブラムは主がお告げになったとおりに出かけた。ロトも彼といっしょに出かけた。アブラムがカランを出たときは、七十五歳であった。アブラムは妻のサライと、おいのロトと、彼らが得たすべての財産と、カランで加えられた人々を伴い、カナンの地に行こうとして出発した。こうして彼らはカナンの地にはいった。(12:4~5)

アブラムは神の命令に従いました。安定を捨てて、見知らぬ土地カナンに移住しました。妻も、財産も、おいのロトも伴いました。75歳の新たな出発です。主に従う場合、年齢は関係ありません。
アブラムたちはパレスチナ中央山地の尾根に沿って南下し、シェケムを通り、とアイの中間地点を訪れました。(6~8節)アブラムは、神から重要な言葉を頂くたびに、また、主を身近に感じて礼拝した場所に祭壇を築きました。

12章後半の10~20節の内容は、アブラムの失敗談です。
ききんが起きたので、アブラム一行は食料の豊富なエジプトに一時避難しました。アブラムは身の安全のために妻サライを自分の妹と偽りました。65歳を過ぎたサライでしたが、その美貌ゆえにエジプト王の宮廷に召し入れられ、それが災いしてエジプトに害を与え、エジプト人に嘘を責められるも、からくもパレスチナに戻れました。
アブラムは不完全で、弱さを持っていたのです。

アブラムが約束の地に出かけた75歳の時から99歳までの24年間、彼は何も特別なことをしていません。波風はありましたが、いわば平凡な日々を送りました。
平凡な毎日でしたが、アブラムの信仰は非凡でした。アブラムの妻、「サライは不妊の女で、子どもがなかった。」(11:30)という状態でしたが、アブラムは神の約束を信じたのです。きっと子供が生まれ、その子孫が増え、世界を祝福すると信じたのです。24年の間、神の約束が実現しなくても、アブラムは神を信頼しました。自分の弱さに気づき、失敗でへこんでも、神を信じることを止めません。そこが、アブラハムの信仰の非凡さなのです。



2、祝福の注ぎ口として

神がアブラムへに言われた言葉を、もう一度思い巡らしましょう。

その後、主はアブラムに仰せられた。「あなたは、あなたの生まれ故郷、あなたの父の家を出て、わたしが示す地へ行きなさい。そうすれば、わたしはあなたを大いなる国民とし、あなたを祝福し、あなたの名を大いなるものとしよう。あなたの名は祝福となる。あなたを祝福する者をわたしは祝福し、あなたをのろう者をわたしはのろう。地上のすべての民族は、あなたによって祝福される。」(創世記12:1~3)

あなたにとって、「生まれ故郷」、「父の家」とは何でしょう。そして、「わたしが示す地」とはどこでしょう。

住み慣れた場所から離れ、神が行けと言われる場所に出て行く用意がありますか。人によっては、結婚する、仕事を変える、引っ越す事などが主の示される道です。それだけでなく、主が示された地が、家のペンキを塗ること、家族に温かい言葉をかける事かもしれません。今、示されている地に出かけましょう。

神に従うなら、アブラムとその子孫によって地上のすべての民族が祝福されるのです。アブラムが世界の祝福の注ぎ口になるのです。

昌子さんはクリスチャンの看護師で、毎週土曜日に全身麻痺を抱える男性をお見舞いしました。約8年の間に、彼はクリスチャンになりました。その彼が一枚の絵を昌子さんにプレゼントしました。初めて口で絵筆をくわえて描いたランの絵です。やがて、昌子さんは彼と結婚を決意しました。主の示された道を歩み出したのです。彼の名は、星野富弘さん。富弘さんの描いた絵は、昌子さんが絵具を出して夫を支えてきました。その詩画は多くの人を励まし、主の祝福を世界中の人に届けています。

あなたも私も、祝福の注ぎ口になれます。主の示される道に出て行きましょう。そして、主の祝福の約束をずっと信じ続けましょう。クリエイティブに考えれれば、主のために生きる道は100万通りもあるはずです。

 米国の秀才が集まるスタンフォード大学でこんな授業が行われました。
クラスの各グループが5ドルを元手に、週末に実働時間2時間でお金を稼ぎ、その結果を3分間のプレゼンテーションにまとめるというプロジェクトです。あなたなら、何をしますか。
よくあるアイデアで洗車やレモネードスタンドをしたグループもありました。自転車の空気圧を調べてタイヤに空気を入れるサービスも評判になりました。人気レストランで順番を取り、列の後ろの人に売った例もありました。広告を取って来て、プレゼンテーションの時にクラスの皆に見せたグループは650ドルをもうけました。
 
世界と人間の問題を解決するために、神は一人の人物を選び、献身をうながしました。神が求めているのは、お金ではありません。神の示した道に出て行く人物です。

あなたの番です
□「わたしの示す地」に出て行こう
□平凡な毎日を、非凡な信頼をもって生きよう
□主のためにもっとクリエイティブに!