詩篇53篇   腐るな


 詩篇53篇を読むと、よく似ている詩篇があったなと気づくでしょう。そうです。詩篇14篇とそっくりです。異なる点は、「主」が「神」となっている事と、後半が少し違う程度です。重要なテーマなので、繰り返し取り上げて強調しようという意図かもしれません。


1、神を認めないと、何が起きるのか

 1)神はいない

 愚か者は心の中で「神はいない。」と言っている。(1節)

 知識人は色々と調べた上で「神はいない」と結論づけるだろうと日本人は考えます。でも、聖書はその逆だといいます。神がおられるのに、神を認めないとしたら、それは最も愚かなことです。神はいないという前提で始めるなら、ボタンを最初にかけ違えたまま生きることになります。

 2)腐る

 彼らは腐っており、忌まわしい不正を行なっている。(1節)
 彼らはみな、そむき去り、だれもかれも腐り果てている。(3節)

 神がいないとするなら、その人は腐ってしまうと聖書は警告します。

 3)善きことができない

 善を行なう者はいない。(1節)
 善を行う者はいない。ひとりもいない。(3節)

 パウロは、ローマ3章10節で、善を行う者はいないと断じて上記の聖句を引用し、人間の本性のもろさを鋭く指摘しました。

 風が吹けば桶屋が儲かると言われますが、神を認めないなら、その人は腐り、周囲に腐りが伝染し、善き事が失われていくのです。


 たとえば、アルコール依存の父親がいて、毎晩のように息子を殴ったり蹴ったりするなら、その子は父親を認めず、父親を憎むでしょう。その子は学校で粗暴に振舞い、その子に巻き込まれてクラスの子供たちも荒れてくるでしょう。
 会社や組織、そして国家も同じことが起こります。箱に入ったミカンの一つが腐れば、周囲のミカンも腐るのです。

 学校や会社には、いい加減な人がいます。自分の利益だけを考える人がいます。平気で嘘をついて、その場を取り繕う人がいます。人に見つからないなら、盗みや不正を行ったり、みだらな欲求を追及する人がいます。不正カードを使用してATMで70万円を引き出す仕事でも、お年寄りをだますことも、5万円の報酬でアルバイトする人がいます。

あなたは誠実で真面目な人かもしれません。でも、上司から数字を書き換えるように命令されたらどうしますか。製薬会社に勤務しているなら、副作用を隠すために数字を書き換える人がいます。自動車会社なら、排気ガスの数値を書き換えを命じられます。そうすれば、あなたは立派な社員として評価されますが、薬を使った人が一生涯苦しんだり、環境が汚染されてしまいます。

神を認めず神を敬わないなら、これは実に自然な流れなのです。


 詩篇53篇では、まことの神を認めない外敵が、エルサレムに攻め込み、残虐非道なことを行った上で、ユダヤ人を捕囚として遠くバビロンに連れ去った事が暗に述べています。まるで、パンをむさぼり食べるように、ユダヤ人を食らったと書かれています。(4~5節)時がくれば、神の裁きが下り、敵は恥を見ると信じています。そして、シオンから、神の救いの手が延べられ、かつてのユダヤの繁栄が戻る日を期待しました。(6節)



2、神を認めるなら

 世界の悲惨さの原因は、もとをたどれば、神を無視し、神を認めない態度から生まれます。
 ですから、その逆をしましょう。まず、神を認めます。主イエスを救い主と信じ受け入れます。すると、心の中に命が与えられ、いのちの泉が湧き出るようになります。その人は、暗闇に灯った光のような存在になります。人を愛すようになり、正義を行う人になり、時には犠牲を払って誰かを助け、神の栄光をあらわす人になっていきます。

 →あなたの番です
  □腐った人生に終止符を打つ
  □神と共に歩む人生に入ろう