詩篇54:1~7  私を助ける方


 アメリカの学校では、日本では起きない不思議な事に遭遇します。 
 オーケストラのクラス参加希望者を、くじ引きで決めると発表があり、私たちの子供が応募しました。なんと、締切日が来る前に当選者が発表され、うちの子供は落選しました。締切日前の発表は不適切と、私たち夫婦が校長に抗議すると、締切日後にくじ引き抽選をやり直してくれました。
 主に祈って行動したら、危機的場面から助け出され、嬉しい結果をもらえました。
 

1、「神よ」

 表題から分かるように、ジフ人に隠れ家を密告され、ダビデが危機に陥った時の歌が詩篇54篇です。

若い日のダビデは、サウルに命を狙われて荒野を転々としていました。パレスチナ南部の荒野は、西部劇に出てくるような広大な平地ではなく、岩山が連続して見晴らしがききません。それでダビデの居場所を見つけることは困難でした。逆に、サウルの軍隊がどこまで追い迫ったのかもダビデには分からないのです。

第1サムエル23:19によると、ジフ人たちがダビデの居場所をサウルに伝えたことが分かります。密告の事実がダビデに伝わっても、時すでに遅しという状況でした。ダビデにもダビデの仲間にも、サウル軍がまっしぐらに進んで来る姿が目に浮かんだことでしょう。多勢に無勢で、形勢不利です。ダビデの心は、落胆、不平、怒りに傾きかけました。そんな時に、ダビデは祈りました。助けてと祈りました。

神よ。御名によって、私をお救いください。
あなたの権威によって、私を弁護してください。
神よ。私の祈りを聞いてください。私の口のことばに、耳を傾けてください。
見知らぬ者たちが、私に立ち向かい、横暴な者たちが私のいのちを求めます。
彼らは自分の前に神を置いていないからです。セラ(詩篇54:1~3)

ダビデは、「神よ」(1節)と呼びかけました。2節でも「神よ」と語りかけています。ダビデは弱虫ではなく、歴戦の勇士です。彼に並ぶ勇者は当時誰もいませんでした。そのダビデが祈ったのです。自分の無力を認め、神の助けにすがりました。「神よ」と助けを求めることが、困難から脱出するための第一段階です。

今、あなたは形勢不利ですか。神よ、と呼びかけ、神の助けを求めてください。


2、「神は」

まことに、神は私を助ける方、主は私のいのちをささえる方です。
神は、私を待ち伏せている者どもにわざわいを報いられます。
あなたの真実をもって、彼らを滅ぼしてください。(4~5節)

「神よ」という呼びかけは、詩篇の後半で「神は」に変化します。「神は」で始まる文章は、信仰告白文です。体験に基づいたダビデ固有の信仰の確信です。ダビデは、神が今まで助けてくれたことを思い起こし、この困難な時に、神はきっと助けて下さるという信仰が与えられたのです。これが、困難から脱出するための第二段階です。


3、「私は」

神は私を助ける方、主は私のいのちをささえる方です。(4節)
神は、私を待ち伏せている者どもにわざわいを報いられます。(5節)
神は、すべての苦難から私を救い出し(7節)

戦略上もっとも難しいのは退却です。ダビデと連れの者たちは気力と集中力と団結力を失わずにサウルの追手から逃れようとしました。
ダビデたちは、サウル軍の動きに耳をそば立てつつ、気配を消してその地域から逃れようとしたはずです。その時、ダビデは、神にささげものをささげると述べ、将来の自分の姿を思い浮かべています。

 私は、進んでささげるささげ物をもって、あなたにいけにえをささげます。
主よ。いつくしみ深いあなたの御名に、感謝します。
神は、すべての苦難から私を救い出し、
私の目が私の敵をながめるようになったからです。(6~7節)

困難から脱出する第三段階は、「私は」と神に語り始めることです。ダビデは、今後の自分の行動予定を神に伝えました。
目に見えない信仰は、行動によって初めて明らかになります。ダビデは、神に救出された後に、いけにえを捧げると態度を表明しました。

第1サムエル23:26~29を読むと、この危機の結末が分かります。サウルは、岩山ひとつ手前の所まで迫っていましたが、外敵ペリシテ人による攻撃が伝えられ、全員がその場を後にしたのです。ダビデは、その場所を「仕切りの岩」と名づけ、神が隔ての壁となってギリギリの所で助けて下さった事を記念しました。


 1996年、ジョイ・モーラ(Joey Mora)は、中近東の海域で、米国空母から落ちて海を漂いました。転落場面を目撃した者がなかったので捜索が遅くなりました。ジョイは絶望と戦いながら、助けを待ちました。神が彼の心を励ましてくれました。海軍でならったサバイバル術を思い出し、ズボンを脱ぎ、裾を堅く結び、浮輪のように首にかけ、バシャバシャと海面をたたくと空気が送り込まれて体は浮きました。そうして、3日たって漁船に救助されました。



 あなたは形勢不利ですか。立ち止まって「神よ」と助けを求めましょう。神に祈りつつ、「神は」で始まる信仰告白文を作って神に信頼しましょう。その上で、「私は」と心に決めて、何らかの行動を起こしましょう。
 

 →あなたの番です
  □形勢不利な時、「神よ」と助けを求める
  □「神は」で始まる文章を作り、信仰告白とする
  □「私は」と、これからの行動を決めて実行する