申命記

 申命記はモーセの遺言です。彼は自分がまもなく死ぬこと、そして、約束の地に入れないこと(申命記3:23~27)を知っていました。それで、民を集めて話したのです。

1、ずっと愛されていた

 イスラエルの民は今、ヨルダン川東岸のモアブの野にいます。川を渡ればエリコ、そこは約束の地です。

あなたの神、主が、この四十年の間、荒野であなたを歩ませられた全行程を覚えていなければならない。それは、あなたを苦しめて、あなたを試み、あなたがその命令を守るかどうか、あなたの心のうちにあるものを知るためであった。それで主は、あなたを苦しめ、飢えさせて、あなたも知らず、あなたの先祖たちも知らなかったマナを食べさせられた。それは、人はパンだけで生きるのではない、人は主の口から出るすべてのもので生きる、ということを、あなたにわからせるためであった。この四十年の間、あなたの着物はすり切れず、あなたの足は、はれなかった。あなたは、人がその子を訓練するように、あなたの神、主があなたを訓練されることを、知らなければならない。(申命記8:2~5)

 モーセは荒野の40年間を振り返りました。その期間は、親が子を訓練するの似ています。厳しさには神の愛が裏打ちされていました。

 母が幼子を抱き、自分のひとみのように守るように神は支えてくれました。上手く飛べない雛を自分の翼に乗せる鷲のように、神は助けてくれました。(32:10~11)
振り返れば分かります。あなたも、ずっと、ずっと、神に愛されてきました。


2、ずっと逆らってきた

愛されてきたイスラエルの民は、主のことばに背き、主に信頼せず、逆らってきました。

あなたは荒野で、どんなにあなたの神、主を怒らせたかを覚えていなさい。忘れてはならない。エジプトの地を出た日から、この所に来るまで、あなたがたは主に逆らいどおしであった。(9:7)
私があなたがたを知った日から、あなたがたはいつも、主にそむき逆らってきた。(9:24)
あなたも振り返ってみましょう。主イエスを信じてから今日までの歩みを。自己中心で、不機嫌で、生意気盛りのティーンエイジャーのようではありませんか。


3、危険な場所なので、律法を守れ

約束の地に入ると、危険と誘惑が待ち構えています。家と畑が与えられると傲慢になり(8:11~14)神から離れる可能性が大です。また、約束の地には、自分の子供を犠牲にささげて祈願する宗教があり(18:10)その悪影響が心配です。現地の人と縁続きになると、性的放縦が雪崩のように入ってきます。
それらの民が邪悪であり、忌むべき礼拝をしていることを理由に、「聖絶」するよう主はイスラエルの民にお命じになりました。(7:2)

あなたが彼らの地を所有することのできるのは、あなたが正しいからではなく、またあなたの心がまっすぐだからでもない。それは、これらの国々が悪いために、あなたの神、主が、あなたの前から彼らを追い出そうとしておられるのだ。また、主があなたの先祖、アブラハム、イサク、ヤコブになさった誓いを果たすためである。(9:5)

イスラエルの民は、約束の地に入る心の備えとして契約を更新しました。十戒(5:6~21)とそれに続く律法を守ると誓約しました。これはシナイ契約の更新という意味合いがあります。一世代前の人々は、神に対して不信仰を表明したため、40年の間にすべて死に絶えていたので契約の更新が必要でした。(29:1)

神に逆らうなら呪いが来る。神の言葉を守るなら祝福が来る。(28章)モーセは繰り返し祝福と呪いについて語りました。モーセは、イスラエルの民が堕落することを予測していました。民が神に背き、滅ぼされて捕囚となって他国に引かれて行っても、神は約束の地に必ず戻すと約束されました。(30:1~4)

聖書の命令は、あなたを苦しめるためではなく、あなたとあなたの周囲にいる人を危険から守るためにあるのです。


4、ずっと愛していこう

旧約聖書の神は厳く、新約聖書のイエスは優しい。知識人がそう述べるのを良く聞きます。聖書を40年以上毎日読み続け、日曜日ごとに語る聖書箇所に真剣に向き合って来た私は、まったく逆の印象を持ちます。旧約聖書には神の深い愛が流れています。主イエスは悪と対峙し、弟子を突き放して育てられました。
 申命記を何度も読み直して下さい。律法の書ですが、同時に愛の書であると分かります。主を愛しなさいと11回も言っていますし、神がイスラエルの民を愛しているという箇所も6箇所あります。これは、旧約聖書中で最多の言及です。

イスラエルよ。今、あなたの神、主が、あなたに求めておられることは何か。それは、ただ、あなたの神、主を恐れ、主のすべての道に歩み、主を愛し、心を尽くし、精神を尽くしてあなたの神、主に仕え、あなたのしあわせのために、私が、きょう、あなたに命じる主の命令と主のおきてとを守ることである。見よ。天ともろもろの天の天、地とそこにあるすべてのものは、あなたの神、主のものである。主は、ただあなたの先祖たちを恋い慕って、彼らを愛された。そのため彼らの後の子孫、あなたがたを、すべての国々の民のうちから選ばれた。今日あるとおりである。(10:12~15)

 律法の中で最も大事な命令は神を愛すことだと主イエスは言われましたが(マルコ12:28~30)、それはすでに申命記で言及されていた事でした。主を愛す人は、神の律法を自然に守ります。

 主よ私はあなたを愛しています、と祈りの中で言ってみましょう。そう言い終えて違和感があるのなら、あなたの行動と思いが愛に届いていないのです。主よ、あなたを愛しますと心を込めて言うなら、その日、自分が取るべき行動が何なのかが分かってきます。

聞きなさい。イスラエル。主は私たちの神。主はただひとりである。心を尽くし、精神を尽くし、力を尽くして、あなたの神、主を愛しなさい。(6:4~5)

心を尽くして主を愛してみましょう。

 →あなたの番です
  □私は、ずっと主に愛されてきた
  □ずっと私は、主を軽んじてきた
  □これからずっと、主を愛していきたい