後ろ向きの人から、前向きの人へ ネヘミヤ2:17~20

 あなたの部屋のカーペットは何色ですか。すぐに言える人は問題ない。雑誌や洋服、買い物袋で床が見えない人はすでにブロウクン・ウインドウ状態だ。
 「ブロウクン・ウィンドウ理論」とは刑事司法学者ジェイムズ・ウイルソンとジョージ・キリングが、1982年に提唱した考え方。建物のガラス窓を割れたまま放置しておくと、やがては、そのビルが犯罪の温床となり、地域全体の風紀を乱していく。
 この理論を土台に、壊れた窓直していけば社会の治安回復ができると考え、考えただけでなく実行したのがニューヨークのジュリアーニ市長と言われている。地下鉄の落書きを消し、空き缶の投げ捨てを禁止、歩行者の信号無視も取り締まり、数年後には凶悪犯罪数が激減した。

紀元前430年前後のユダヤ人は廃墟となったエルサレムを見ていたが、何もできないでいた。後ろ向きの心に支配されていた。ネヘミヤは違った。ネヘミヤは、前向きにこの問題に対処した。

 今日のテーマは、どうしたら前向きの人になれるか、いうことだ。そうは言っても、無理して前向きのフリをする必要はない。神の栄光を求めればいい。そうすれば自然に前向き思考になる。

 問題を知らされたネヘミヤは以下のように行動した。
1、問題を覚えて祈る
2、自分ができる事は何か見極め、計画を立てる
3、生ける神を意識しながら、他の人に声をかける
4、困難や反対にひるまずに成し遂げる

1、問題を覚えて祈る
 1章4節でネヘミヤは祈っている。祈ったから1章9節で神の約束を思い出した。過去の失敗を嘆いたり、愚痴や不平を言ってるだけでは後ろ向きだ。祈ることだ。祈ることが問題解決の第一歩だ。神の栄光は、祈りの中から輝き始める。

2、自分ができる事は何か見極め、計画を立てる
 ネヘミヤがアルタシャスタ王の献酌官であると1章11で言及されているが、これはネヘミヤが自分の地位を自覚したという間接的な表現だろう。2章5節でネヘミヤは王に城壁再建の願いを打ち明けると、王から具体的計画を尋ねられ、即座に日程、必要書類、資材の調達などを答えている。(2章6~8節)単なる願いじゃだめだ。具体的に計画を立てよう。

3、生ける神を意識しながら、他の人に声をかける
2章17節でネヘミヤは、エルサレムの住民に計画を伝えた。困難を見ているだけでは何も始まらない。「さあ、エルサレムの城壁を立て直し、これ以上そしりを受けないようにしよう」(2章17節)と述べた。人々は共鳴し、協力を誓った。
ネヘミヤは18節で、「私に恵みを下さった私の神の御手のことと、また、王が私に話したことばを、彼らに告げた。」とあかしをしている。生ける神をあかししている。ネヘミヤ記には、「私の神」という表現が9箇所にある。(2:8、2:12、2:18、5:19、7:5、13:14、13:22、13:29、13:31、<「わが神」6:14>)ネヘミヤにとって、神と生ける神であり、その神と生き生きした交わりを持っていたのだ。神との生きた関係を持っている人にだけが、神の栄光を求めることができる。

4、困難や反対にひるまずに成し遂げる
 エルサレム周辺で権力を握っていたサヌバラテ、トビヤ、ゲショムなど有力者は、ネヘミヤに反対した。ネヘミヤはそれにひるまずに、「天の神ご自身が、私たちを成功させてくださる」(2章20節)と目を天に向けさせた。
城壁工事が進んでいると聞いた反対者らは、さらにひどい妨害を行い意志をくじこうとした。(4章2、3、11節)人々は、疲れと作業進展の遅さから弱気になり、不可能だと後ろ向きな発言をしはじめた(4章10節)。4章14節でネヘミヤは恐れるべき方は神だと信仰を鼓舞した。反対や抵抗が増えてくるのは、問題解決が近い証拠だ。人々は、片手に槍を持ち、片手で城壁修復作業を行った。52日かけて城壁はついに完成した。(6章15節)

ネヘミヤは前向きな人だと思う。それは、生ける神を知っており、神の栄光を求めて生きたからだ。あなたも同じようなプロセスを踏んで進もう。そうすれば、あなたは神の栄光を表す、結果的に前向きな人になる。

賛美歌や聖歌の歌詞を合計5000曲作ったファニー・クロスビーは、1820年ニューヨーク州に生まれたが、生後6ヶ月に医師のミスが原因で失明、生後1年ほどで父を失う。信仰深い祖母と母に育てられ8歳にして自分は幸せ者だと心から発言している。
27歳で盲学校教師になり、38歳で結婚、二年後に子供を生むが亡くなってしまう。そんな時に作った歌詞が多くの人を慰めている。
もしあの医師に出会ったならこう言いたいと自伝で書き残した。あなたは失敗したかもしれないが、神には失敗はない。確かに目は見えないが、多くの素晴らしいものを見てきた。賛美歌の歌詞を通して多くの人を励ますことができた。私は世界で一番の幸せ者だ、と。
賛美歌の歌詞で100万人の人々を主イエスに導きたいと願ったクロスビーのビジョンは、実現したと言うことができる。後ろ向きにならず、前向きに生きた人の模範だろう。

 後ろ向きの人が、前向きになるのは、実はかなり大変だ。小さいことが気になる人、勇気がない人、こだわりの強い人、色々なタイプの人がいる。それでいいと思う。そんな事はどうでもいい。神の栄光を見たいと望むなら、あなたは前向きの人になれる。