再会 創世記42章

1、隠れていた怒り

 ヨセフは当時38歳前後、幸せで満ち足りていた。結婚して二人の息子が生まれ、地位と名声を得て働き盛りの真っ最中にいた。夢の解き明かし通りに豊作が7年続き、やがて凶作の時期に入った。ヨセフは外国から穀物を買い付けに来た人々を監視していたが、とんでもない人物たちが目の前に現われた。兄たちだ。自分を奴隷商人に売り飛ばした兄たち10人だ。

 ヨセフは意図的に荒々しい言葉を使い、スパイの嫌疑を一方的にかけた。(7節)自分も気づかないくらい憤っていた。兄たちの言葉、「正直者でございます」(11節)、「もうひとりはいなくなりました」(13節)を聞いて苛立ちはいっそう激しくなった。

 ヨセフは無意識のうちに意地悪な処置を言い渡し、10人を一時軟禁した。

 あなたにも、隠れた怒りがあるかもしれない。まるで地雷のように普段は隠れているが、何かの拍子に、死んでいた凶暴な怒りが頭をもたげることがある。
 あなたの隠れた怒りを発見する方法がある。ある事柄やある人の話題に触れただけで、極端に無口になる、攻撃的になる、冷たくなる、という事があれば、それがあなたの隠れている怒りだ。

2、涙が生み出すもの

 ヨセフは3日間、兄たちを牢に閉じ込めた後、「私も神を恐れる者だから」(18節)と本来のヨセフに近づき始めた。さらに、通訳を介さずに兄たちの言葉が耳に届き(21節)、ヨセフは心を揺さぶられた。兄たちは、悔いている。兄たちは、反省している。神から罰を受けたと自分達の行為を責めている。
 「ヨセフは彼らから離れて、泣いた」(24節)涙が何かを流し出した。ヨセフが抱えていた怒りの一部が流れ出た。ヨセフは、変わり始めている。
 
 あなたの番です。一番身近で大切な人の本音が聞こえれば、あなたの心も変わります。神がヨセフに兄たちの肉声を聞かせてくれたように、神は同じことをしてくださいます。心の耳を開きましょう。“敵”の心すら、親身になって聞くことさえできます。心の耳を澄ませてくださいと祈りましょう。それが、身近な人との和解の第一歩です。

「主の前に静まり、耐え忍んで主を待て。」(詩篇37:7)
「怒ることをやめ、憤りを捨てよ。」(詩篇37:8)