第1サムエル10:1~27 新しい人へ


 人は、変われるのか。
 今日の箇所を読むと、答えが分かります。


1、油そそがれたサウル(1~16節)

 サムエルは早朝、サウルと二人きりになり、サウルに油を注いでイスラエルの王として任命しました。油を注ぐ行為は戴冠を意味します。油は、主が、注がれたのです。

サムエルは油のつぼを取ってサウルの頭にそそぎ、彼に口づけして言った。「主が、ご自身のものである民の君主として、あなたに油をそそがれたではありませんか。(第1サムエル10:1)

王になるという心の準備は、サウルにありません。そこでサムエルは、その日のうちに起きる3つの事柄をサウルに克明に予告し(2~6節)、これは間違いない主の選びだと悟らせようとしました。サウルはその3つの事柄を体験し(9節)て確信を得たはずです。場所、人数、人々の持ち物や外見、もらったパンの数など、サムエルの言った通りでした。

その後、ペリシテ人の守備隊のいる神のギブアに着きます。あなたがその町にはいるとき、琴、タンバリン、笛、立琴を鳴らす者を先頭に、高き所から降りて来る預言者の一団に出会います。彼らは預言をしていますが、主の霊があなたの上に激しく下ると、あなたも彼らといっしょに預言して、あなたは新しい人に変えられます。(5~6節)

「主の霊があなたの上に激しく下る」「あなたは新しい人に変えられます」サウルはまるで預言者の一人のように変わりました。ぼーとしている感じで、焦点の合わないカメラのようなサウルは信仰面は未開発に見えましたが、熱心な預言者のように変わったので人々は驚き、流行語まで登場しました(10~12節)。

「このしるしがあなたに起こったら、手当たりしだいに何でもしなさい。」(7節)とサムエルに命じられたので、後にサウルは大活躍することになります。

あなたの番です。あなたも変わります。新しくなれます。

どうしたら、人は変われるのでしょう。神が変えてくれるのです。神から任された役割があるとき、その人が自分自身を神にゆだね、それを受けて神は使命を成し遂げる力を付与してくれます。人がそれを見ると、変えられたと思うでしょう。

変えられたということは、別の言葉で言い換えるなら、その人らしさを取り戻すことだと私は思うのです。他人の真似はしない、自分であることに安心できる。ほこりで白くなった街路樹が、にわか雨の後にきらきら輝き出すように、主の霊を受けた人は変えられるのです。

新しい仕事、新しい住まい、新しい役割、新しい人間関係、それを、主からのものとして受け止めましょう。その時、主の霊が注がれ、あなたは新しく変えられます。



2、王としてのデビュー(17~27節)
 
 サムエルは、ミツパにイスラエルの民を集め、主が選ばれた王を公に紹介しました。サムエルは神が誰を選ばれたかを知っていましたが、くじという方法を用いて、王を選ぶプロセスを、人々の前でガラス張りにして見せました。選ばれたのは、もちろんサウルでした。

こうしてサムエルは、イスラエルの全部族を近づけた。するとベニヤミンの部族がくじで取り分けられた。それでベニヤミンの部族を、その氏族ごとに近づけたところ、マテリの氏族が取り分けられ、そしてキシュの子サウルが取り分けられた。そこで人々はサウルを捜したが、見つからなかった。(20~21節)

 13章1節によると、サウルは30歳で王になりました。公に王として選ばれても、隠れてしまうサウルを見ると、青年らしいなと思います。青年の特徴は、自信がないことです。能力があるのに、自分など取るに足らないと考えてしまうのです。(ところで、中年の特徴は、根拠のない自信を持っていることです。えーやん、えーやん、完璧や。私は天才だな。「天才」は忘れたころにやって来る、なんて中年の人は言ってます。)

それで人々がまた、主に、「あの人はもう、ここに来ているのですか。」と尋ねた。主は、「見よ。彼は荷物の間に隠れている。」と言われた。人々は走って行って、そこから彼を連れて来た。サウルが民の中に立つと、民のだれよりも、肩から上だけ高かった。サムエルは民のすべてに言った。「見よ。主がお選びになったこの人を。民のうちだれも、この人に並ぶ者はいない。」民はみな、喜び叫んで、「王さま。ばんざい。」と言った。(22~24節)

いざ人々の前に出ると、サウルは背が高くて美しい若者なので、人々は熱狂してサウルを王として迎えました。サウル王に忠誠を誓う者も現れ(26節)、一方では、サウルを軽蔑する人々も一部にいましたが、サウルは何も言いませんでした。

主に選ばれ油注がれ主の霊を受けて変えられても、人々の賞賛と批判の矢面に立たされる時、青年サウルは怖気づきました。それが、現実です。あなたも、新しいポジションに立って、喝采と嫌味を受けた時は、次の言葉を心に留めて下さい。

「見よ。主がお選びになったこの人を。民のうちだれも、この人に並ぶ者はいない。」(24節)

→あなたの番です
□主の霊を受け、変えてもらいましょう
□主からもらった新しいポジションです。勇気を出してやり遂げましょう。