創世記

 1年間で聖書全巻を解説する「Read & Go!」シリーズの第2回目。今日から旧約聖書を順に見ていきます。最初は「創世記」です。
 キーワードは、祝福と欠けだらけの人々です。


1、祝福する神

 神は、創造の初めに、世界を祝福されました。創世記を貫くものは、神の祝福です。創世記の中に「祝福」という言葉が60回以上も出てきます。
神はまた、それらを祝福して仰せられた。「生めよ。ふえよ。海の水に満ちよ。また鳥は、地にふえよ。」(創世記1:22)

 海も空も植物も動物も神がお造りになり、神が祝福されました。神は人間を特別に祝福され(1:28)、神の形に似せ、心が通い合う存在として創造されました。
 ところが、最初の人、アダムとエバは神に背き、罪を犯し、神の祝福の多くの部分を失いました。アダムとエバの子孫が悪に傾いたので神は洪水によって世界をリスタートさせましたが、その後の人々もバベルの塔を作って傲慢で神に敵対的になりました。
 そこで神は、アブラハムとその子孫を通して世界の民族を祝福することにされました。これが、創世記の骨格です。創世記12:1~3は、創世記で最も大切な箇所です。

その後、主はアブラムに仰せられた。「あなたは、あなたの生まれ故郷、あなたの父の家を出て、わたしが示す地へ行きなさい。そうすれば、わたしはあなたを大いなる国民とし、あなたを祝福し、あなたの名を大いなるものとしよう。あなたの名は祝福となる。あなたを祝福する者をわたしは祝福し、あなたをのろう者をわたしはのろう。地上のすべての民族は、あなたによって祝福される。」(創世記12:1~3)

 創世記が教える祝福とは、何でしょう。神が愛してくれる、神が守ってくれる、神が財産を増やしてくれる、神が平和を下さる、神が土地を下さる、神が助けてくださる、神がアブラハムとその子孫の子どもたちを増やして下さる、神が共にいて下さる、神が用いて下さる、などという意味です。
これらのプラス要素だけでなく、神は罪を犯した者を見捨てず、赦してくださり、試練に遭った人々を支え助けて下さいます。これもまた神の祝福です。

アブラハムは、行くところを知らないまま神に従いました。そして、神からの祝福を頂きました。75歳を過ぎたアブラハムは、必ず子供を与えるという神の約束をもらいました。夜空の星は、アブラハムの子孫の数を意味しました。

すると、主のことばが彼に臨み、こう仰せられた。「その者があなたの跡を継いではならない。ただ、あなた自身から生まれ出て来る者が、あなたの跡を継がなければならない。」そして、彼を外に連れ出して仰せられた。「さあ、天を見上げなさい。星を数えることができるなら、それを数えなさい。」さらに仰せられた。「あなたの子孫はこのようになる。」(創世記15:4~5)

創世記には、二つの祝福が記録されています。実現した祝福と、祝福の約束です。
祝福の約束とは、将来の神の祝福を待てるようにと、神が人に与えて下さった確証です。飛行機のチケットを購入すると、航空会社がチケットを送付したり、コンファームEメールを送ってくれますが、神の約束はそれと同じなのです。あなたは、神の祝福フライトに必ず乗れるのです。

見よ。わたしはあなたとともにあり、あなたがどこへ行っても、あなたを守り、あなたをこの地に連れ戻そう。わたしは、あなたに約束したことを成し遂げるまで、決してあなたを捨てない。(28:15)

このみことばは、ヤコブがパレスチナからユーフラテス川地域に夜逃げする時に、神がヤコブに語ってくれた言葉です。「あなたをこの地に連れ戻そう」「約束したことを成し遂げるまで、決してあなたを捨てない。」ヤコブは、この神からのコンファームレターを胸に刻みました。

創世記が最も伝えたいことは何でしょう。神があなたを祝福したくてたまらないのだということでです。また、将来もあなたを祝福するつもりなので、約束を与えてくれました。あなたに与えられた祝福が周囲の人に拡散されることを願っておられます。

「地上のすべての民族は、あなたによって祝福される。」(創世記12:3)

 アメリカのDMVや郵便局や移民局の窓口職員で、優しい人や笑顔の人に出会える確立は限りなくゼロです。もし、そのような職場に笑顔の絶えない親切なクリスチャンが働くようになったらどうでしょう。きっと職場が変わり、訪れる人が笑顔になるでしょう。あなたが、周囲の人の祝福の源になれる。創世記は、そう教えてくれます。


2、欠けだらけの人々

 創世記12章から50章は、アブラハムとその子孫の物語です。彼らには共通点があります。それは、欠けの多い人だということです。

 アブラハム(12~24章)           75歳の高齢者。インチキをしたり、嘘をつく。
 イサク(25~27章)      あまりにも凡庸な人。
 ヤコブ(28~36章)      悪賢く、父と兄をだました男。
 ヨセフ(37~50章)      甘やかされた末っ子、自分本位。

欠けの多い彼らであっても、神は彼らを信頼し、祝福の約束を与え、励まし続けました。アブラハムには空の星を見せました。ヤコブには天から下るはしごを見せました。ヨセフには親や兄たちが彼に頭を下げる夢を見せました。目で見た事柄は希望と忍耐を与えてくれました。

嘘をついてその場をやり過ごしていたアブラハムは、25年間待ち続け100歳で父親になりました。ヤコブは、ヤコブよりもさらに上手の詐欺師、叔父ラバンに散々だまされ14年間ただ働きする中で忍耐と信仰が深められました。ヨセフは、17歳の時にエジプトに奴隷として売られて働き、無実の罪で牢獄に入れられましたが、13年後にエジプトの宰相になり、イスラエルの一族をエジプトに招き飢饉から救いました。

欠けの多かったこれらの人々は、人生の試練に出会って神に信頼することを学び、苦しみの中で人格が練りきよめられ、神に用いられる人へと変えられました。

ヨセフは兄弟たちに言った。「私は死のうとしている。神は必ずあなたがたを顧みて、この地からアブラハム、イサク、ヤコブに誓われた地へ上らせてくださいます。」(50:24)

創世記の最後のパートは、ヨセフの臨終の言葉で閉じられます。彼は、イスラエルの民の苦難を予測しつつも、神の約束を信じて疑っていません。「神は必ずあなたがたを顧み」下さると信じ切っています。

このように、創世記は神による祝福の物語であり、変えらた人々の物語でもあります。

欠けだらけでも神に自分をささげて用いて頂きたいと願う人が、祝福を周囲に分け与える人になれました。私たちも、神を信頼しましょう。神について行きましょう。神の約束を疑わずに待ちましょう。神の示す地に出て行きましょう。

その後、主はアブラムに仰せられた。「あなたは、あなたの生まれ故郷、あなたの父の家を出て、わたしが示す地へ行きなさい。そうすれば、わたしはあなたを大いなる国民とし、あなたを祝福し、あなたの名を大いなるものとしよう。(12:1~2)

「土の器」というプレイズは、私たちの気持ちを歌にしてくれています。
土の器 欠けだらけの私 その欠けからあなたの光がこぼれ輝く
土の器 ヒビだらけの私 そのヒビからあなたの愛があふれ流れる
こんな私でさえも 主はそのままで愛してくださる
だから今主の愛に 応えたい 私の全てで
用いてください主よ
私にしかできないことが必ずあるから

 →あなたの番です
  □神はあなたを祝福したいと願っています
  □欠けがあっても、神を信頼して、主に従いましょう
  □あなたの笑顔や親切や祈りが、周囲に神の祝福を届けます