ルツ記


 ルツ記は、真珠のような物語です。

1、悲しみと別れ(1章)

ナオミの夫エリメレクは死に、彼女とふたりの息子があとに残された。ふたりの息子はモアブの女を妻に迎えた。ひとりの名はオルパで、もうひとりの名はルツであった。こうして、彼らは約十年の間、そこに住んでいた。しかし、マフロンとキルヨンのふたりもまた死んだ。こうしてナオミはふたりの子どもと夫に先立たれてしまった。(ルツ記1:3~5)

ナオミと夫と息子二人の4人家族は、飢饉を避けて隣国モアブに移住しました。まもなくナオミの夫が亡くなりました。二人の息子が現地の人と結婚できたことは、ナオミにとって慰めになりましたが、やがて二人の息子が相次いで死にました。10年間モアブに滞在しましたが、ナオミは故郷のベツレヘムに帰ることにしました。

二人の嫁が一緒について来ましたが、ナオミは二人に実家に帰りなさいと言いました。オルパは泣きながら帰りましたが、ルツはナオミにすがりついて離れません。

ルツは言った。「あなたを捨て、あなたから別れて帰るように、私にしむけないでください。あなたの行かれる所へ私も行き、あなたの住まれる所に私も住みます。あなたの民は私の民、あなたの神は私の神です。あなたの死なれる所で私は死に、そこに葬られたいのです。もし死によっても私があなたから離れるようなことがあったら、主が幾重にも私を罰してくださるように。」(1:16~17)

ルツの言葉から分かるように、彼女はまことの神を信じるようになっていました。そして、義理の母を自分の母と考え、死ぬまで支えると決めていました。

故郷に帰ったナオミは、自分の名は「マラ」(苦しみ)のほうがふさわしい(1:20)と心境を吐露しました。

あなたの生活は、今、寒く厳しい冬のようですか。必ず春が巡って来るように、主があなたに喜びと賛美を下さる時が来ます。それを信じますか。



2、大切な人との出会い(2章)

「はからずも」(2:3)「ちょうどそのとき」(2:4)との記述があります。出会いは偶然のようにやってきますが、すかし文字で「必然」と書かれてあるのです。ルツが訪れた畑がボアズの畑で、その日に彼が町から顔を出した事の中に神のご配慮を感じます。

ボアズはルツに言った。「娘さん。よく聞きなさい。ほかの畑に落ち穂を拾いに行ったり、ここから出て行ったりしてはいけません。私のところの若い女たちのそばを離れないで、ここにいなさい。(2:8)

 「主があなたがたと共におられますように」(2:4)というボアズの挨拶、在留異国人に親切にせよという律法の実践、ルツに語った言葉のはしはしから、ボアズが信仰と親切さを身に付けた人だと分かります。

ボアズは答えて言った。「あなたの夫がなくなってから、あなたがしゅうとめにしたこと、それにあなたの父母や生まれた国を離れて、これまで知らなかった民のところに来たことについて、私はすっかり話を聞いています。主があなたのしたことに報いてくださるように。また、あなたがその翼の下に避け所を求めて来たイスラエルの神、主から、豊かな報いがあるように。」(2:11~12)

人々が神を捨て、自己中心に生きた士師記の同時代に、ルツもボアズも信仰と親切を大切にしていました。魅力的な人とは、神を信じ、身近な人に親切にする人です。

貧しい外国人のルツと裕福なユダヤ人ボアズとの間に、接点は存在しません。二人が出会えたのは、神の配慮でした。

70億人の中から、たった一人に出会う不思議。家族の一員として生まれた。親友に出会えた。結婚した。新しい職場で良い上司や仲間に会った。教会で信仰の友を見い出した。
出会いには主の御手があります。あなたのかけがいのない出会いを振り返り、主に感謝しましょう。



3、逆プロポーズ(3章)

 脱穀の日はお祭りのような賑わいです。遅くまで大麦をふるい分け、作業を終えて食事をし、その場で眠ることをナオミは知っていました。それで、晴れ着を着てボアズの足元に隠れなさいとルツに助言しました。彼女は言われた通りにしました。
夜中にボアズがルツに気づくと、彼女は思い切ってプロポーズをしました。「あなたが好きです、結婚して下さい」と女性が言えば、男性が幻滅する危険がありました。

彼は言った。「あなたはだれか。」彼女は答えた。「私はあなたのはしためルツです。あなたのおおいを広げて、このはしためをおおってください。あなたは買い戻しの権利のある親類ですから。」(3:9)

「はしためをおおってください」と述べました。2:12でボアズがルツに語った言葉への返歌になっています。ボアズは「あなたの望むことはみな、してあげましょう」(3:11)と語り、大麦6杯をルツの外套に包んで、持たせました。

結婚前の男性と女性たち。その時が来たら、思い切ってプロポーズしましょう。男は度胸、女も度胸です。いや、適切な言葉で言うなら、男は信仰、女も信仰です。



4、その時ボアズが動いた(4章)

 ボアズは男です。今後具体的にどうしたら良いか(3:11)、誰と交渉すべきか(3:12)、ボアズはすでに調べてありました。翌朝、買戻しの権利のある人と会い(4:1)、証人として長老たちの臨席を依頼し(4:2)、正式に交渉しました。優先権のある近親者の男性は、畑と一緒にルツを妻にする必要があるなら買い取りを止める(4:6)と言いました。証拠としての靴を(4:7~8)ボアズはもらいうけました。そして、晴れてルツと結婚しました。二人の間に息子が生まれ、ナオミは賛美と喜びに包まれました。

 ボアズとルツのひ孫に、ダビデが生まれ(4:18~22)、やがて、その子孫に主イエスが生まれます。(マタイ1:4~6、16)偶然に見えたボアズとルツの出会いは、後の世界に大きな恵みを及ぼすことになりました。

イスラエルで、その名が伝えられるよう、きょう、買い戻す者をあなたに与えて、あなたの跡を絶やさなかった主が、ほめたたえられますように。(4:14)


 →あなたの番です
□悲しみは去り、喜びの季節が来る
□かけがいのない出会いに主の御手あり、感謝しよう