列王記第二


 列王記第二は滅びの歴史です。

1、滅びの歴史

アッシリヤの王はこの国全土に攻め上り、サマリヤに攻め上って、三年間これを包囲した。ホセアの第九年に、アッシリヤの王はサマリヤを取り、イスラエル人をアッシリヤに捕え移し、彼らをハラフと、ハボル、すなわちゴザンの川のほとり、メディヤの町々に住ませた。(第2列王記17:5~6)

紀元前931年、王国は南北二つに分裂しました。その後、北王国イスラエルは紀元前722年、アッシリヤによって滅ぼされました。人々は遠くアッシリヤに連れて行かれ、外国人がサマリヤに強制移住させられました。(これが後のサマリヤ人になります)

こうなったのは、イスラエルの人々が、彼らをエジプトの地から連れ上り、エジプトの王パロの支配下から解放した彼らの神、主に対して罪を犯し、ほかの神々を恐れ、主がイスラエルの人々の前から追い払われた異邦人の風習、イスラエルの王たちが取り入れた風習に従って歩んだからである。(第2列王記17:7~8)

 一方、南王国ユダは、アサ、ヨシャパテ、ヒゼキヤ、ヨシヤ、など神を敬う王が治めた事と、「ダビデに免じて」(8:19)という主の守りにより、滅びが猶予されました。
けれどもついに、紀元前586年、エルサレムはバビロンに包囲された後、徹底的に破壊され、人々はバビロンに捕囚として連れて行かれました。

第五の月の七日――それは、バビロンの王ネブカデネザル王の第十九年であった。――バビロンの王の家来、侍従長ネブザルアダンがエルサレムに来て、主の宮と王宮とエルサレムのすべての家を焼き、そのおもだった建物をことごとく火で焼いた。侍従長といっしょにいたカルデヤの全軍勢は、エルサレムの回りの城壁を取りこわした。侍従長ネブザルアダンは、町に残されていた残りの民と、バビロンの王に降伏した者たちと、残りの群衆を捕え移した。(25:8~11)

栄光に輝く王宮は焼かれ、城壁は破壊され、神殿から金目の物はすべて持ち出され、神殿前の青銅の柱(25:13)ですら砕かれてバビロンに持ち去られました。

 北王国は約210年間、南王国ユダは340年間で滅びました。このようにして、ユダヤ人は世界に離散したのです。

 神はアブラハムとその子孫を選んで特別な祝福を与え、すべての民族に神の祝福を届ける使命を与えましたが、その使命を果たすことなく国を失いました。ユダヤ人は、エジプトで奴隷でしたが主によって救われましたが、彼らは神を忘れ、神に逆らい、他の神を拝み、やがて滅んでいきました。栄光が去っただけでなく、廃墟となり、人も去ったのです。

列王記が一番言いたいことは、「滅びるな」です。


2、あきらめていけない

 列王記第二1~13章の中心人物は預言者エリシャでした。預言者エリヤと預言者エリシャは北王国で活動し、その記録は列王記にだけにあります。ヤロブアムやアハブ王など背信と偶像礼拝のひどかった北王国にはエリヤやエリシャのようにパワフルな預言者が遣わされる必要がありました。

国王に神の言葉を語ったり、国を敵の攻撃から救ったダイナミックな預言者エリシャですが、それと同じようにして、困り果てた個人にも助けの手を伸べました。国レベルの事柄も、個人の悩みも、本質的には同じで、主を信頼すればよいのです。
悩む人に預言者エリシャがどのように対処したかを見てみましょう。

(1)家にあるものは何か

借金を払えず子供を奴隷に取られそうだった女性が、エリシャに助けを求めました。

エリシャは彼女に言った。「何をしてあげようか。あなたには、家にどんな物があるか、言いなさい。」彼女は答えた。「はしための家には何もありません。ただ、油のつぼ一つしかありません。」すると、彼は言った。「外に出て行って、隣の人みなから、器を借りて来なさい。からの器を。それも、一つ二つではいけません。(第2列王4:2~3)

「家にどんな物があるか。」 女性は、家にはもう何もないと思っていました。でも、油の壷を思い出しました。子供たちは近所の家から器をじゃんじゃん借りてきました。母親は次々に器に油を注ぎました。すると借金を払えるくらいの油の量になりました。

あなたも、今持っているものを点検して下さい。可能性はあります。

(2)言われた通りにやってごらん

 隣国アラムの将軍ナアマンは、全身がひどい皮膚病で苦しんでいました。彼が預言者エリシャにいやしを求めると、エリシャは使いの者を通じて対処方法を教えました。

エリシャは、彼に使いをやって、言った。「ヨルダン川へ行って七たびあなたの身を洗いなさい。そうすれば、あなたのからだが元どおりになってきよくなります。」(5:10)

 ナアマンは腹を立てました。故郷の川のほうが立派だ、なぜ預言者本人が祈祷してくれないのか。ナアマンはしもべに説得されて心を切り替え、言われた通り7度体を沈めました。すると直ったのです。「神の人の言ったとおり」(5:14)にしたからです。

 あなたも、聖書の通りに、やってみましょう。

(3)信仰の目を開いて下さい
  
 エリシャの召使は朝起きてびっくり。敵の大軍に包囲されていました。もうだめだと思いました。エリシャは「恐れるな」(6:16)と言って召使のために祈りました。

 そして、エリシャは祈って主に願った。「どうぞ、彼の目を開いて、見えるようにしてください。」主がその若い者の目を開かれたので、彼が見ると、なんと、火の馬と戦車がエリシャを取り巻いて山に満ちていた。(6:17)

 見えるものだけに心を奪われてしまうと、私たちは落ち込みます。神の視点で見ると、恐れはなくなります。環境を変えてほしいと祈るだけでなく、ものの見方を変えて下さい、信仰の目を開けてくださいと祈りましょう。

 物事を変えるのでなく、物事を見る目を変えてみましょう。

 2006年2月15日ニューヨーク州のグリース・アテネ高校で、バスケットの試合が行われました。ジェイソン・マケルウィン君(Jason McElwain)は幼い時から自閉症の生徒で、今まで一度も試合に出たことがありませんでした。コーチはこう考えました。チームのためマネージャーの働きを続けてくれたジェイソン君の働きに報いる意味で、最後の4分間、試合に出してやろう。
 チームメイトは、彼にパスを集めて応援し、ジェイソン君は6本の3ポイントシュートと普通のシュートを決め、合計20点で試合の最多得点王になりました。
 この時のビデオ映像がテレビニュースになり、有名プロバスケット選手に会ったり、大統領と話したり、彼の人生はこの4分間で劇的に変わりました。
 あなたにも「4分間」が残っています。

 あきらめそうになったら、エリシャの言葉を思い出して下さい。自分が持っているものが何かを見直しましょう。聖書の言葉を信じて、その通りやってみましょう。主に目を開いてもらって、神の視点で現実を見直しましょう。


 →あなたの番です
  □滅びてはいけない
  □何があっても、あきらめない