エズラ記、ネヘミヤ記


 捕囚の地からエルサレムに戻った人々は神殿と城壁を再建し、神中心の生活を始めようとしました。その時の困難と主の御手を記録したのがエズラ記とネヘミヤ記です。

1、歴史を支配する神

ペルシヤの王クロスの第一年に、エレミヤにより告げられた主のことばを実現するために、主はペルシヤの王クロスの霊を奮い立たせたので、王は王国中におふれを出し、文書にして言った。「ペルシヤの王クロスは言う。『天の神、主は、地のすべての王国を私に賜わった。この方はユダにあるエルサレムに、ご自分のために宮を建てることを私にゆだねられた。(エズラ記1:1~2)

 紀元前586年エルサレムは陥落、おもだった人はバビロンに連れていかれました。やがてバビロニアは滅びペルシャの時代になりました。ペルシャ帝国は君主の絶対権力よりも法による統治を重んじ、民族の自治を大切にしました。それで、ペルシャのクロス王はユダヤ人を故国に戻し、神殿建設を命じたのです。預言者エレミヤが70年後に故国に戻れると預言していましたが、その通りになりました。(エレミヤ25:11~12)

586年          エルサレム崩壊
540年          ペルシャ帝国、クロス王即位。             (エズラ記1:1~4)
538年          第1回帰還。ゼルバベル、祭司ヨシュア。
536年          神殿工事開始                                       (エズラ記3章)
                        神殿工事が中断                                  (エズラ記4章)
                        預言者ハガイ、ゼカリヤが活躍          (エズラ記5:1)
520年          神殿工事再開                                       (エズラ記5章)
516年          神殿完成                                              (エズラ記6章)
458年          第2回帰還。エズラ。          (エズラ記7~8章)
432年          第3階帰還。ネヘミヤ。城壁再建。    (ネヘミヤ記2~6章)

 エズラ記とネヘミヤ記には、預言者エリヤの時代のような奇跡はありません。また、神からの直接の語りかけはありません。ですが、神が歴史と王たちを支配しておられることが分かります。この時代のもう一つの特徴は、神の言葉を愛す人と神に祈る人が用いられたことです。エズラとネヘミヤは、神のみこころを理解し、困難を乗り越えたのです。

 状況は現代と似ています。神は今も歴史を支配しています。


2、律法に通じたエズラ

エズラはバビロンから上って来た者であるが、イスラエルの神、主が賜わったモーセの律法に通じている学者であった。彼の神、主の御手が彼の上にあったので、王は彼の願いをみなかなえた。(エズラ7:6)
 エルサレム陥落から第一陣がエルサレムに帰るまで、約50年の歳月が流れました。ユダヤ人はバビロニア帝国で生活しながら、会堂(シナゴグ)を作り、そこで神の言葉を学ぶようになりました。神の言葉を教えたのは祭司たちであり、彼らはやがて律法学者と呼ばれるようになりました。

すなわち、彼は第一の月の一日にバビロンを出発して、第五の月の一日にエルサレムに着いた。彼の神の恵みの御手が確かに彼の上にあった。エズラは、主の律法を調べ、これを実行し、イスラエルでおきてと定めを教えようとして、心を定めていたからである。
(7:9~10)

エズラは、目に見える神殿や城壁を作ったりしませんが、人々の心に確かな信仰を建て上げようとして聖書を教えました。今日、私たちがバイブルスタディーを大事にするのは同じ理由です。

エズラは、神のことばから始める人です。あなたの一日も、聖書から始めましょう。


3、祈りから始めたネヘミヤ

私はこのことばを聞いたとき、すわって泣き、数日の間、喪に服し、断食して天の神の前に祈って、言った。「ああ、天の神、主。大いなる、恐るべき神。主を愛し、主の命令を守る者に対しては、契約を守り、いつくしみを賜わる方。(ネヘミヤ1:4~5)

ネヘミヤは、エルサレムの再建が道半で悲惨な状況だと知らされ、泣きながら祈りました。祈りの中で自分の為すべき事を見つけました。彼は、ペルシャ王の側近「献酌官」(1:11)だったのです。数ヶ月間、祈りながら、城壁再建計画を作り、王の許可を取り付けました。


 それから、私は彼らに言った。「あなたがたは、私たちの当面している困難を見ている。エルサレムは廃墟となり、その門は火で焼き払われたままである。さあ、エルサレムの城壁を建て直し、もうこれ以上そしりを受けないようにしよう。」そして、私に恵みを下さった私の神の御手のことと、また、王が私に話したことばを、彼らに告げた。そこで彼らは、「さあ、再建に取りかかろう。」と言って、この良い仕事に着手した。(ネヘミヤ2:17~18)

 ネヘミヤもエズラ同様に、神の御手を意識する人でした。「神の御手」があったことを人々に知らせた、城壁再建のビジョンを示しました。多くの人が熱心に城壁作りに協力しました。(3章)サヌバラテやトビヤという妨害者がネヘミヤたちを苦しめましたが、祈りつつ(4:8~9)、片手に槍を持ちながら(4:17)工事を続け、なんと52日間で(6:15)完成しました。

良い事や正しい事や福音の働きには妨害が入ることがあります。そんな時、ネヘミヤたちのことを思い出して下さい。ひるまずに進みましょう。

主の御手は、事柄の上に現れ、また多くの場合、主の御手は誰かの心に直接働いてくれる場合があります。まさか、あの人が助けてくれるとは思わなかったという事が起きるのです。

ネヘミヤは、それから、貧しい人を助けたり、不正を正したり、外国人との結婚問題に対処したり、エズラに神の言葉を語ってもらったり(8~9章)しました。

 さあ、あなたも「再建にとりかかろう」(ネヘミヤ2:18)何を再建したいですか。そのためには、みことばから始めましょう。また、祈りから始めましょう。困難に直面しても、ひるまず前に進んでいきましょう。

 →あなたの番です
□みことばから始める
□祈りから始める
□妨害にひるまない